サキサグリプチン（オングリザ）の作用機序・特徴・服薬指導の要点

２型糖尿病治療薬に処方されるDPP4阻害薬がサキサグリプチン水和物（商品名：オングリザ）です。

サキサグリプチンはブリストル・マイヤーズスクイブ社によって創製されました。

サキサグリプチンの作用機序、特徴、服薬指導のポイントについてまとめてみました。

作用機序

GLP-1・GIPとは？

食事を摂ると、グルカゴン様ペプチド-1（GLP-1）やグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプ チド（GIP）といったインクレチンホルモンが分泌されます。

インクレチンホルモンは血糖値の上昇に応じて、膵臓β細胞からインスリンの分泌を促したり、膵臓α細胞からグルカゴンの分泌を抑える働きがあります。

GLP-1・GIPはDPP4によって分解・不活性化

しかし、インクレチンホルモンであるGLP-1やGIPはジペプチジルペプチダーゼ-4（DPP-4）によって急速に分解され不活性化されてしまいます。

サキサグリプチン（オングリザ）はDPP4を阻害

サキサグリプチン（オングリザ）はインクレチンホルモン（GLP-1やGIP）を分解するDPP4を選択的に阻害することで、インクレチンの濃度を高め、血糖値をコントロールする働きがあります。

Tmax・T1/2（半減期）

オングリザのインタビューフォームによると、健康成人に空腹時単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りとなります。

未変化体のTmax・T1/2

活性代謝物のTmax・T1/2

代謝・排泄

主にCYP3A4/5 により代謝され、主要活性代謝物を生成。
肝臓と腎臓により排泄（糞便22%・尿中75%）

透析でも投与可能

中等度以上の腎機能障害時は2.5mgで投与。
透析中の末期腎不全患者でも投与が可能です。

中等度以上の腎機能障害患者

併用禁忌薬

サキサグリプチン（オングリザ）と併用禁忌の薬剤はありません。

服薬指導・薬歴記載の要点（ハイリスク薬）

・１日１回投与でOK。
・食事、服用タイミングの縛りは無し。
・CYP3A4/5を阻害する薬剤（イトラコナゾールなど）と併用注意。
・単独処方では低血糖のリスク低いが、糖尿病薬と併用すると低血糖の可能性があがる。
（特にSU剤とインスリン製剤）
・低血糖の症状を伝える。
（動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など）
・低血糖時の対処方法を伝える。
（ブドウ糖5～15ｇ摂取or  砂糖10〜30g を摂取　αGI併用中はブドウ糖摂取）
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
（他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時）