アログリプチン(ネシーナ)の作用機序・特徴・服薬指導・薬歴記載のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2型糖尿病に処方されるDPP4阻害薬にアログリプチン(商品名:ネシーナ)があります。

アログリプチンについて、作用機序、服薬指導や薬歴記載のポイントをまとめてみました。

作用機序

食事を摂ると、消化管からイクレチンホルモンが分泌されます。

インクレチンホルモンは血糖値依存的で、血糖値が上がると膵臓β細胞からインスリンの分泌を促したり、膵臓α細胞からグルカゴンの分泌を抑えます

このインクレチンホルモンによって血糖値のバランスが保たれています。

インクレチンホルモン(GLP-1、GIP)はDPP4によって分解

インクレチンホルモンの代表的なものに、GLP-1やGIPがあるのですが、これらはジペ プチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって急速に分解されてしまいます。

アログリプチン(ネシーナ)はDPP4を阻害

アログリプチン(ネシーナ)はインクレチンを分解するDPP4を選択的に阻害することで、インクレチンの濃度を高め、血糖値の上昇を抑えることができると考えられています。

Tmax・T1/2(半減期)

ネシーナのインタビューフォームによると、健康成人男性に朝食30分前に単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りです。

規格 Tmax(hr) T1/2(hr)
6.25mg 1.4±0.4 21.8±2.2
12.5mg 1.0±0.4 16.7±2.4
25mg 1.1±0.3 17.1±2.0
50mg 1.2±0.2 14.3±1.4

 

代謝・排泄

主に未変化体として腎臓から尿中に排泄されます。

併用禁忌薬

アログリプチン(ネシーナ)と併用禁忌の薬剤はありません。

服薬指導・薬歴記載の要点(ハイリスク薬)

・インクレチンを分解するDPP4を選択的に阻害し、インクレチン濃度を高め、血糖値をコントロールする。
・1日1回服用(食事、服用時点の縛りは受けない)
・単剤での低血糖の副作用リスクは低いが、他の糖尿病薬を併用中は特に低血糖に注意。
(特にSU剤とインスリン製剤)
・低血糖の症状を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取or  砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
 ・低血糖が起こりやすい事例を伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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