ビルダグリプチン(エクア)の作用機序・特徴・服薬指導・薬歴記載のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2型糖尿病治療薬として処方されるDPP4阻害薬がビルダグリプチン(商品名:エクア)です。

ビルダグリプチンは、1998年にスイスのノバルティスファーマ社で発見されて開発されました。

ビルダグリプチン(エクア)について、作用機序や服薬指導、薬歴記載の要点についてまとめてみました。

ビルダグリプチン(エクア)の作用機序

食事を摂ると消化管のL細胞からインクレチンというホルモンが分泌されます。

インクレチンホルモンは血糖値に応じて膵臓β細胞からのインスリン分泌を促したり、膵臓α細胞から過剰なグルカゴンの分泌を抑えることで血糖値を調整する役割があります。

インクレチン(GLP-1)はDPP4で分解される

代表的なインクレチンホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって速やかに分解されてしまいます。

ビルダグリプチン(エクア)はDPP4を選択的・可逆的に阻害

ビルダグリプチン(エクア)はジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)を選択的に可逆的に阻害(共有結合)することで、インクレチン(GLP-1)濃度を高め、血糖値の変動によるインスリンやグルカゴンの分泌を調整する働きがあります。

Tmax・T1/2(半減期)

エクアのインタビューフォームによると、ビルダグリプチン50mgを健康成人男子に空腹時単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りです。

Tmax T1/2
2.00±1.26 hr 1.77±0.23 hr

 

代謝経路

主に肝代謝(チトクローム P450の関与は低い)
加水分解で代謝される。

併用禁忌薬

ビルダグリプチン(エクア)と併用禁忌の薬はありません。

服薬指導・薬歴記載(ハイリスク薬)の要点

・インクレチンホルモン(GLP-1)を分解するDPP4を阻害することで、血糖値依存でインスリンやグルカゴンの分泌を調整。
・1日2回の朝・夕に服用する(患者状態に応じて、朝1回50mg投与)
・単剤での低血糖のリスクは低いが、糖尿病治療薬併用により低血糖の副作用の発現率が高くなる。
(特にSU剤とインスリン製剤)
・重度の肝機能障害のある患者には禁忌
・低血糖の症状を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取or  砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
 ・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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