2型糖尿病治療薬で比較的低血糖の副作用が起こりにくいのがDPP4阻害薬のシタグリプチンリン酸塩水和物(商品名:ジャヌビア・グラクティブ)です。
シタグリプチンリン酸塩水和物の作用機序、代謝、服薬指導の要点についてまとめてみました。
インスリンの分泌はインクレチンと呼ばれるホルモンによって調節されています。
食事をとるとインクレチンであるglucagon-like peptide 1(GLP-1)及び glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)が分泌されて、血糖値が上がりすぎないように、インスリンの分泌を増やし、肝臓でのグルコースの産生を抑えたり、筋肉などでのグルコースの取り込みを増やします。
また、GLP-1やGIPといったインクレチンは血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌を抑える働きもあります。
このようにインクレチンによって血糖値の恒常性が維持されています。
しかし、GLP-1やGIPといったインクレチンはDPP4(dipeptidyl peptidase-4 )という酵素によって分解されてしまいます。
GLP-1やGIPがDPP4によって分解されることで、インスリンの分泌が少なくなったり、グルカゴンの分泌が増えることで血糖値が上昇します。
シタグリプチンリン酸塩水和物(商品名:ジャヌビア・グラクティブ)はインクレチン(GLP-1やGIP)を分解するDPP4を阻害することで、インクレチン(GLP-1やGIP)が分解されるのを抑え、結果的に血糖値が上がるのを抑えることができるのです。
インクレチンは食事を摂取すると分泌されるホルモンのため、DPP4阻害薬のシタグリプチンは比較的低血糖が起こりにくいと言われています。
79〜88%が未変化体として尿中に排泄(腎臓排泄)
シタグリプチン(ジャヌビア・グラクティブ)と併用禁忌の薬剤はありません。
ジャヌビアのインタビュフォームによると、健康成人に空腹時単回投与した時のTmaxとT1/2は下記のとおりです。
用量 | Tmax (hr) | T1/2 (hr) |
12.5mg | 4 | 12.3 ±0.8 |
25mg | 5 | 11.6 ± 1.8 |
50mg | 2 | 11.4 ± 2.4 |
100mg | 2 | 9.6 ± 0.9 |
・食事によって分泌されるインクレチン(GLP-1、GIP)を分解するDPP4を阻害。
・1日1回でOK。食事の縛り、服用時点の縛りはない。
・単剤での低血糖の副作用リスクは低いが、他の糖尿病薬を併用中は特に低血糖に注意。
(特にSU剤とインスリン製剤)
・低血糖の症状を伝える。
(動悸・手足の震え・強い空腹感・冷や汗・脱力感など)
・低血糖時の対処方法を伝える。
(ブドウ糖5~15g摂取or 砂糖10〜30g を摂取 αGI併用中はブドウ糖摂取)
・低血糖が起こりやすいケースを伝えておく。
(他の糖尿病薬と併用時、シックデイ、激しい運動後、過度な飲酒、食事を摂らない時)
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