高血圧の分類・服薬指導〜東洋医学からの視点と食養生

この記事を書いた人

リナ

薬剤師

東洋医学的な高血圧の養生法

東洋医学的にみると高血圧は(き)・(けつ)・(すい)の3つのタイプに分類されます。

それぞれのタイプの特徴や、オススメの食材について解説していきます。

高血圧「気」のタイプ

ストレスで血圧が上がるタイプです。
ストレスなどで肝の血を消耗し、陽気が過剰に上昇します。
どちらかといえば収縮期血圧が高めになります。

症状
頭痛・めまい・ほてり・イライラ・口が渇くetc.

おすすめ食材
肝の熱を冷ますことで改善されるため、セロリ・キュウリ・トマト・もやし・春菊・緑茶etc.

高血圧「血」のタイプ

血液がドロドロのタイプ。
血液が汚れてしまってコレステロールや中性脂肪が高くなっています。血栓ができやすく、血行障害も見られる本態性高血圧の方に多くみられます。

症状
頭痛・めまい・物忘れ・胸痛・手足のしびれ・むくみetc.

おすすめ食材
脂質の多い食事、塩分の取りすぎ、不摂生には注意。
魚卵系・エビ・カニも血液を汚してしまうため避ける。
おすすめは血液の汚れを掃除してくれる、わかめ・昆布・ひじきなどの海藻類、クラゲ・鰹節・トウモロコシのひげ茶etc

高血圧「水」のタイプ

腎性高血圧と呼ばれるもの。
慢性的で高齢者に多いタイプです。

症状
息切れ・疲労感・倦怠感・動悸・耳鳴り・めまい・物忘れ・睡眠障害・夜間頻尿etc.

おすすめ食材
エネルギー源になる腎の養生がポイント。
クコの実・バナナ・干し柿・りんご・ごま・納豆・杜仲茶などがおすすめ。
ただし腎機能が低下してカリウムの制限をされている方、納豆の制限がある方は注意してください。

以上、食の養生法として、東洋学的観点から例をあげましたが、どのタイプにも言えることは下記のとおりです。

  1. 食塩制限
    日本人はそれほど塩分の影響は受けないとされていますが、注意するに越したことはありません。
    1日6g程度に抑えましょう
  2. 適正体重の維持と運動
    ハードな運動は必要ありません。軽い体操やストレッチ、ウォーキング、手足をぶらぶらしたりさすったりして血行を良くしてもいいでしょう
  3. 禁煙・禁酒(節酒)
  4. 血管を丈夫にする良質なタンパク、血圧を下げる働きのあるカリウム・マグネシウム・カルシウム 、便秘予防に食物繊維などを摂取
  5. 十分な睡眠をとる。

今回は、薬局でも接する患者さんの多い高血圧について、書いてみました。

DO処方が続くと、アドヒアランスや数値の確認だけで投薬も終わってしまいがちですが、患者さんにとっては長い付き合いとなる疾患です。

薬剤師側もたまに服薬指導にスパイスを入れてあげることも大切かな、と思います。
長い記事となりましたが、お役に立てれば光栄です。

【参考文献】

  1. 高血圧治療ガイドライン2014 (JSH2014)         
  2. 薬剤師に必要な患者ケアの知識 編著:木村 健 (じほう)         
  3. やさしくわかる東洋医学 根元 幸夫 著 (かんき出版)         
  4. 東洋医学の仕組みと治療がわかる本 丁 宗鐡 著(ナツメ社)

この記事を書いた人

リナ

薬剤師

薬学部薬学科卒業後は西洋医学に偏らず、東洋医学、心理、薬膳、美容とトータルヘルスケアをサポートできる薬剤師を理想としドラッグストアにて勤務。
学生時代、勉強そっちのけで勤しんだバイトで培ったヒューマンスキル・コミュニケーション能力が自慢。

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