高血圧の分類・服薬指導〜東洋医学からの視点と食養生

こんにちは。
メディカルライターのリナです。

高血圧の患者さんへの服薬指導で、ほぼ必ずと言っていいほど確認する「血圧の値」

ただ「聞いて」「記録に残す」だけになってはいないでしょうか。

診察室での血圧はほぼ正確な値で計測されていると思いますが、実際、家庭で測る血圧の計測方法計測時間の確認も必要です。  

患者さんに聞いてみると、人によって朝食後に測っている、昼に測っている、など測定タイミングの違いや上腕式・手首式・指先式などの測定機器の違い、血圧を測る時の体勢・・・など一言に「家での血圧は〇〇でした」と言っても状況によって捉え方が変わってくるのが事実です。

血圧の正しい測定方法、薬局でよく聞かれる血圧のこと、東洋医学の観点からの養生法について解説していきます。

降圧剤が処方される患者さんへの服薬指導の引き出しとして役立つ知識になれば幸いです。

血圧の正しい測定方法と豆知識

以下に測定機器や測定時間、測定体勢についてまとめてみました。

測定機器

基本的に上腕カフで計測。
持ち運びに便利な手首、指先タイプは精度が落ちる。
オムロン、テルモ、パナソニックが医療機関でも多く使用される。  

測定時間

1日2回、毎日決まった時間に計測。
測る前はタバコ・カフェイン・お酒NG
一般的に朝と就寝前の2回だが、医者から昼間や入浴前、などと時間の指定がある場合はそれに従う。
できればそれぞれ2回ずつ測定し、その平均を取る。   

【朝】
起床後、トイレを済ませ尿意・便意のない状態で服薬・食事の前に1,2分安静にして、5〜6回深呼吸をしてから計測。

【就寝前】
入浴後、1時間以上時間をあけて計測。
飲酒をすると血圧は一旦上がり、酔いを感じる頃に血圧は下がる。
量にもよるが、適量であれば翌朝の血圧は通常より低め。
飲み過ぎにより脱水症状になると血圧は上昇する。  

測定体勢

椅子の背もたれに軽くもたれ、足は組まないでリラックスした状態で測る。
血圧計(カフ)の高さは心臓(乳頭を目安に)とする。
心臓より測定器が高くなると血圧計の数値は低く、心臓より低くなれば数値は高くなる。
寝たままで計測すると、リラックス状態にあるので低めになる。  

医療機関では右腕で測ることが多いが、家庭用血圧計は右手で操作がしやすいように左腕で測るようになっている。
たまに違う腕で計測してみて、左右差が明らかな場合は高い方を記録。
左右差は5mmHg以内であれば正常。  

※20mmHg以上の著しい左右差があるようであればすぐに医師に相談。動脈硬化などの疑いあり!

高血圧の分類

日本高血圧学会による「高血圧ガイドライン2014」では正常血圧は120-129/80-84mmHgとされ、診察室血圧値は140/90mmHg以上、家庭血圧値は135/85mmHg以上の場合を高血圧として対処しています。

血圧の値は随時変動していますが、一般的に覚醒時に高値を示し、睡眠中には低値を示すことが明らかになっています。

ただし、高血圧の日内変動の形は人それぞれで、下記の4つに分類されます。  

  1. 正常型(dipper型)
    血圧が昼間より夜間に10~20%降圧
  2. 夜間非降下型(non-dipper型)
    血圧が昼間より夜間に0~10%降圧
  3. 夜間昇圧型(riser型)
    血圧が昼間より夜間に高くなる
  4. 夜間過降圧型(extreme-dipper型)
    血圧が夜間に20%以上降圧

また、早朝と夜間の血圧の差が大きい状態をモーニングサージといい、脳卒中など心血管病の発症リスクに関与すると言われています。その場合、早朝の血圧コントロールが重要になってきます。  
このように患者さんの日内変動のタイプの違いによって、モニタリングする血圧が異なってくるのです。

血圧の「上」or「下」が高い理由は?

服薬指導をしていると、

「血圧の上は正常だけど、下が高いのよ」
「上と下の差があまりないのだけど、これは良くないの?」

など聞かれたことはないでしょうか。  

いわゆる「血圧の上」とはご存知の通り、収縮期血圧のことで、心臓が収縮することで血液を大動脈を通して全身に送り出す時の圧力です。

心臓が収縮した時に大動脈は広がって、押し出された血液の40%を送り出し、残りの60%を一時的に溜め込みます。
心臓が拡張すると残りの60%が送り出され、心臓の拡張期でも血液が全身に供給されるようになっています。
つまり、心臓が拡張した時に血管壁に残っている圧力が「拡張期血圧=血圧の下」になります。

加齢や生活習慣病によって血圧が高くなるのは、血管が硬くなり、血管の内壁にコレステロールなどが付着することで、血液が通りにくくなり、より高い圧力が必要になるためです。

 では「上が高い」「下が高い」「上と下の差が大きい」「上と下の差が小さい」ということが何を示しているのでしょうか。

上(収縮期血圧)が高い原因・理由

加齢により、どうしても動脈硬化は進むため、誰でも血圧は上下ともに高くなりますが、重要視すべきは上の血圧です。

心臓の収縮期には血管は血液が押し出された分だけ圧力を受けます。

上が高い状況は動脈硬化の進んだ高齢者(60~70代以降)に多く見られ、上は高いが比較的下は正常ということが多く見られます。
30~50代であれば糖尿病腎臓病などによる動脈硬化が疑われます。

下(拡張期血圧)が高い原因・理由

下の血圧が高い、という現象は血管が弾力性を失い動脈硬化が進み始めている状態です。

上は正常で下の血圧だけが高くても高血圧とされます。

最近では男性が出血性脳卒中を引き起こすのに、最も強い予測因子となっているのが下の血圧だ、ともされています。

女性が動脈硬化になりにくいのはエストロゲンがLDLの酸化を防ぐためと考えられています。   

下の血圧だけが高いことによる脳卒中や心筋梗塞での死亡率は正常な血圧の人とほとんど差がないとされています。
しかし、今、細い血管のみ血流が悪くなっている状態でもいずれは太い血管にも動脈硬化は進行し、のちに上の血圧も上がっていくという状態にあるため注意が必要です。  

原因としては比較的若年であること、肥満糖尿塩分過多の食事が挙げられます。

上(収縮期血圧)と下(拡張期血圧)の差・脈圧が大きい理由

血圧の上下の差のことを「脈圧」と言います。

脈圧は動脈硬化の進行の程度の目安となるため、変化を知ることが大切となります。
脈圧は年齢・男女は関係なく、健康であれば個人差はありますが、一定であることがベストです。(目安は50mmHg)
60mmHgを超えるようであれば食事・運動などの生活改善が必要です。

動脈硬化が進むと、一般的に、上の血圧が上がり、下の血圧は下がります。
「下の血圧が下がる」ということは、最初は細い血管で起きていた動脈硬化が太い大動脈まで及んでしまい、一時的に蓄えておける血液量が減ってしまっている、ということです。蓄えられなかった血液が留まることなく流れ出すと、拡張期の大動脈にかかる圧力が低い数値を示してしまうのです。

上(収縮期血圧)と下(拡張期血圧)の差・脈圧が小さい理由

脈圧が小さい場合は、60歳前後の方や高血圧になりたったばかりの方に多く見られます。
下の血圧だけが高くなる理由は上記に述べましたが、その場合とほぼ同じです。
大動脈はまだ柔らかいのですが、細動脈や毛細血管が動脈硬化を起こして血管抵抗が高くなることで下の血圧だけが高くなるのです。

>次ページ 東洋医学的の観点から高血圧の養成法を解説

この記事を書いた人

薬剤師・リナ

リナ

薬剤師

薬学部薬学科卒業後は西洋医学に偏らず、東洋医学、心理、薬膳、美容とトータルヘルスケアをサポートできる薬剤師を理想としドラッグストアにて勤務。
学生時代、勉強そっちのけで勤しんだバイトで培ったヒューマンスキル・コミュニケーション能力が自慢。

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