ワーファリンとNOAC・DOAC(新規経口抗凝固薬)について【後編】

この記事を書いた人

加納裕介(かのうゆうすけ)

株式会社ケイファーマ 代表取締役
MRファーマシスト 運営代表
薬剤師

心房細動における脳梗塞予防には長年、ワーファリンが使われています。

十分、理解されていると思いますが、今一度復習と、最近、処方を見ることが多くなってきているNOAC(読み方:ノアック)について報告のある内容についてまとめてみたいと思います。

前編では作用機序についてみていきました。 後編では、現場で役立つツールとして各薬剤の特徴、比較表をご紹介したいと思います。

NOACは「直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant)=DOAC(読み方:どあっく)」とも呼ばれます。
    ワーファリン・その他NOAC(DOAC)との比較表

ワーファリン  

※薬価は2013年の価格で計算しています。

薬剤師が知っておくべき注意点(おさらい)

ワーファリン
・ビタミンKの摂取をひかえる(納豆、クロレラ、青汁はとらない)緑黄色野菜は許可しているケースが多いようです。
・NSAIDsの長期服用。1週間以上服用した時点でPT-INRの顕著な延長がみられるようです。
・感冒時の風邪薬に気をつける。できればかかりつけ医への受診をすすめる。

プラザキサ
・胸やけや胃痛の副作用が多い(カプセルが大きさ、酒石酸の影響)切り替え時に注意!
・P糖蛋白阻害剤(経口剤)のうち、イトラコナゾールの経口剤との併用はダビガトランの血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大することがあるので禁忌。
・カプセルの吸湿性が高く、一包化は不可。脱カプセルも不可。

イグザレルト
・中等度以上の肝障害患者、クレアチニンクリアランス15ml/min未満の患者には禁忌。
・CYP3A4代謝のため、HIVプロテアーゼ阻害剤、アゾール系抗真菌剤併用禁忌。

エリキュース
・クレアチニンクリアランス15mL/min未満の患者には禁忌。
・併用禁忌の薬剤は今のところありません。

まとめ
ワーファリン発売から50年以上経ち、現在、NOAC(ノアック)が新しく臨床で使われるようになってきました。

NOAC(ノアック)は長期的なデータ不足、価格差等、現状では簡単にワーファリンから置き換わる薬剤ではないようですが、各特徴をしっかり理解して服薬指導していきましょう。

今後も情報更新していきたいと思います

この記事を書いた人

加納裕介(かのうゆうすけ)

株式会社ケイファーマ 代表取締役
MRファーマシスト 運営代表
薬剤師

30歳で製薬会社のMRを辞め、2015年4月より念願の経営者として薬局運営を始める。
薬局経営とともに、『MRファーマシスト』(MR経験を持つ薬剤師を意味する)を提唱しWEBサイトやSNSを駆使したゲンバ目線の情報発信は注目を集め【ミクス】・【デキル管理薬剤師ラボ】で連載も持つ。
2016年からは本気で薬局を開局したい人を対象に『独立開局成功塾』を東京・大阪の2拠点で開催しており、夢を持つ若手薬剤師に独自の経営ノウハウを惜しみなく提供している。

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