ファンギゾンシロップ飲み方・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

口腔カンジダをはじめとした、消化管カンジダに処方されるのが、
ファンギゾンシロップ(一般名:アムホテリシンB)です。

以前、吸入ステロイドによる口腔カンジダの患者さんに、ファンギゾンシロップが処方され、調剤方法と服薬指導に戸惑ってしまったことがありました。

久しぶりに取り扱う薬の場合は、どうしても薬剤情報を忘れてしまいますよね。

ファンギゾンシロップが突然処方されても問題ないように、作用機序や調剤方法、服薬指導でのポイントをまとめておきたいと思います。

作用機序

ファンギゾンシロップの有効成分であるアムホテリシンBは真菌の細胞膜エルゴステロールと不可逆的に結合し、真菌細胞膜の透過性を著しく亢進させ菌を死滅させます。

消化管からは吸収されないため、効果を発揮するのは消化管のみで、全身性の真菌感染症には効果がありません。

味・色

下記の画像のように、ファンギゾンシロップはオレンジの懸濁液です。

添付文書上では「オレンジよう芳香」「甘い」となっていますが、
個人的な感想は化粧品をなめているようで決して甘くもなく、美味しいとはいえない味がします。

ファンギゾンシロップ 画像

飲み方(口腔カンジダの場合)

通常の用法(飲み方)

通常小児に対し1回0.5~1mL〔アムホテリシンBとして50~100mg(力価)〕を1日2~4回食後経口投与します。
添付文書には「小児に対し」となっていますが、成人にも処方されるケースもあります。

口腔カンジダでの通常の服用方法ですが、原液をスポイドで直接口の中に入れ、口の中に含んだあと、舌で口腔内の患部へ広げ、15〜30秒経過後、飲み込みます。

通常は原液で調剤

通常は原液のまま服用する薬剤のため、水で薄めるなどの指示がない場合は原液でお渡しすることとなります。

1瓶が24mlなので瓶のままお渡しできるように処方してもらうことが理想ですが、端数がはみ出たり、全量が24ml以下の場合は、容器にうつさなければいけません。
懸濁しているため瓶から容器にうつす場合は、瓶を振ってうつす必要があります。

また遮光が必要のため、褐色容器に入れます。

製剤にスポイドがついていますが、うつしかえる容器のみでお渡しする場合は、スポイドをおつけするとよいでしょう。

希釈して処方されるケースもあり

精製水にて50〜100倍に希釈して処方されるケースがあります。

処方例
ファンギゾンシロップ 10ml
精製水 490ml

希釈後の安定性ですが、

室温で褐色バイアル瓶で保存した場合、50倍希釈で2週間、100倍希釈で1週間安定。
無色バイアル瓶で保存した場合、50倍希釈で2週間安定。

との報告がファンギゾンシロップのインタビューシートの一番下側に掲載されています。

うがいは保険適応外

ファンギゾンシロップは内服薬扱いとなり、うがい(外用薬)としての処方は保険適応外となります。

しかし実際には、希釈したファンギゾンをうがいするように指示されるケースもあります。

調剤時・服薬指導のポイント

  • 容器は褐色容器で遮光すること
    メーカーの試験では2週間以内なら無色の容器でも力価に変化はないと認められています。
    ただし、光を当てた状態だと色が薄くなる報告あり。
  • 使用前に十分に振って均等な懸濁液にして服用してもらうこと。
  • 歯が黄色くなることがある。
    →ブラッシングで除去できると説明する。

引用元 
ファンギゾンシロップインタビューフォーム

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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