白癬やカンジダ症に処方される抗真菌薬の外用薬はいくつか系統がありますが、
共通した作用機序は真菌細胞膜の構成成分である「エルゴステロール生合成の阻害」です。
大まかに作用機序は同じですが、抗真菌薬の系統によってエルゴステロールの生合成阻害に対するアプローチに違いがあります。
エルゴステロールの合成経路と、抗真菌薬がエルゴステロール合成経路のどこを阻害するのか?
抗真菌薬の一般名別にまとめました。
抗真菌薬の作用機序の違いをパッと把握するために役立つ情報になれば幸いです。
エルゴステロールはアセチルCoAから、メバロン酸、スクアレン、ラノステロールを経て作られます。
一部省略していますが、合成経路は下記のとおりです。
赤字部分が抗真菌薬が阻害する酵素になります。
アセチルCoA
↓
↓
HMG-CoA
↓
メバロン酸
↓
スクアレン
↓(スクワレンエポキシダーゼ)
スクアレン2,3-エポキシド
↓
ラノステロール
↓(C14-ジメチラーゼ)
4,4-ジメチルコレスタ-8,14,24-トリエノール
↓(△14-レダクターゼ)
4,4-ジメチルチモステロール
↓
↓
↓
フェコステロール
↓(△8-△7-イソメラーゼ)
エビステロール
↓
↓
↓
エルゴステロール
| 系統 | 一般名 商品名 |
1日回数 | 作用機序 (阻害酵素) |
| イミダゾール系 | 硝酸オキシコナゾール オキナゾール |
2〜3回 | C14-ジメチラーゼ |
| イソコナゾール硝酸塩 アデスタン |
2〜3回 | C14-ジメチラーゼ | |
| スルコナゾール硝酸塩 エクセルダーム |
2〜3回 | C14-ジメチラーゼ | |
| クロトリマゾール エンペシド |
2〜3回 | C14-ジメチラーゼ | |
| ミコナゾール硝酸塩 フロリードD |
2〜3回 | C14-ジメチラーゼ | |
| ビホナゾール マイコスポール |
1回 | C14-ジメチラーゼ | |
| ケトコナゾール ニゾラール |
1回 ※2回 |
C14-ジメチラーゼ | |
| ネチコナゾール塩酸塩 アトラント |
1回 | C14-ジメチラーゼ | |
| ラノコナゾール アスタット |
1回 | C14-ジメチラーゼ | |
| ルリコナゾール ルリコン |
1回 | C14-ジメチラーゼ | |
| アリルアミン系 | テルビナフィン塩酸塩 ラミシール |
1回 | スクワレンエポキシダーゼ |
| チオカルバミン系 | リラナフタート ゼフナート |
1回 | スクワレンエポキシダーゼ |
| ベンジルアミン系 | ブテナフィン塩酸塩 メンタックス ボレー |
1回 | スクワレンエポキシダーゼ |
| モルホリン系 | アモロルフィン塩酸塩 ペキロン |
1回 | △14-レダクターゼ △8-△7-イソメラーゼ |
※ニゾラールは脂漏性皮膚炎に適応あり(1日2回塗布)
イミダゾール系は高濃度で真菌細胞膜を直接障害させるものあり
マイコスポール(ビホナゾール)はHMG-CoA→メバロン酸の生成阻害作用もあり
| 系統 | 成分名 商品名 |
1日回数 | 作用機序 (阻害酵素) |
| トリアゾール系 | エフィナコナゾール クレナフィン爪外用液10% |
1回 | C14-ジメチラーゼ |
| イミダゾール系 | ルリコナゾール ルコナック爪外用液5% |
1回 | C14-ジメチラーゼ |
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