麻薬小売業者間譲渡許可の活用のススメ〜薬局での麻薬の在庫管理

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

こんにちは、薬剤師ライターのJです。

今回は麻薬の在庫管理にも繋がる麻薬小売業者間譲渡許可の活用について書きたいと思います。

さて、皆さんの薬局には麻薬の在庫はどのくらいあるでしょうか?

麻薬がほとんど処方されない地域では在庫がゼロという薬局もあると思います。
また、麻薬処方せんを持って来局された患者さんのために在庫したら1回しか処方されなくて、期限切れを待つばかりの麻薬をいっぱい持っている、という薬局もあるのではないでしょうか。

なぜそんな状況になってしまうかというと、皆さんがご存知のとおり、麻薬は通常小分けができないからですね。

麻薬は小分けができない、不動在庫として他店にも引き取ってもらえない。
麻薬金庫の大きさによってはすぐ金庫内がいっぱいになり、麻薬の廃棄には手間がかかります。

また、麻薬は高額なものも多いので経営にも響いてきます。

そういった現場を悩ます麻薬の在庫管理ですが、実は一つだけ結果的に麻薬の在庫を調整することができるシステムがあるんです。

それが麻薬小売業者間譲渡許可です。

麻薬小売業者間譲渡許可とは?

麻薬小売業者間譲渡許可を簡単に説明すると、急な麻薬処方せんの調剤に対応するため、麻薬の在庫が不足している場合に限り、予め都道府県に許可をとっている近隣の薬局から麻薬を小分けしてもらい、調剤することができる制度です。

へー、それは便利ですね、さっそく許可もらってきます!と言ってもらえると嬉しいのですが、こういった制度にはやはり制限・注意事項があります。

麻薬小売業者間譲渡許可の制限・注意事項

  1. 麻薬の在庫が不足している場合に限るので他店舗の麻薬が不動在庫や期限切迫になったから在庫調整のために小分けしてもらうということはできない。
  2. 都道府県を越えての小分けはできない。
  3. 同一都道府県内でも、遠方の薬局の場合は小分けできない。
  4. 共同で麻薬小売業者間譲渡許可を申請できる業者数に限りがある。
  5. 全ての麻薬で小分けできるわけではなく、地域の実情に応じて、よく出る麻薬に関してはしっかり在庫しなければならない。

といったところですね。 この中で3と4と5の基準が分かりにくいですが、3,4に関しては都道府県によってまちまちのようです。

参考までに東京都の場合、

3 同一区市町村内は制限なし、またぐ場合は30分以内(交通手段問わず)。
4 同一区市町村内は制限なし、またぐ場合は10業者まで。

5に関しては具体的な数値が見つからないので断言はできませんが、私の経験上では少なくとも月に数回程度でしたら特に何か注意されるということはなかったです。

おそらく小分けが毎日のように行われていたりすると保健所の指導が入ると思われるので注意してください。

それと麻薬小売業者間譲渡許可の制度はあくまで調剤のための制度であって、在庫管理のための制度ではないことに気を付けてください。

結果的に麻薬の在庫管理につながると思っていただければと思います。

近隣の薬局と一緒に麻薬小売業者間譲渡許可を取得しよう

まだ麻薬小売業者間譲渡許可を取っていない薬局で、ときどきくる麻薬処方せんに頭を悩ませているようでしたら、グループ間の薬局や仲の良い近隣薬局間でぜひ許可を取ることをお勧めします。

また麻薬が良く出る薬局においても、土日祝日など麻薬が納品できない状況になったりすることがあるので、急な麻薬処方せんの調剤に対応するため許可取得をお勧めします。

都道府県の薬務課が申請の窓口になります(申請書は知事宛)。

また各都道府県の薬務課のWEBページに申請書の原本や提出方法の記載があると思いますのでそちらを参考にしてみてください。

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

中小企業2社で管理職を経験。
現在は1店舗の薬局経営者。
薬剤師らしくない薬剤師を目指して日々精進を重ねていきたいと思っております。

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「J」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る