後発医薬品への変更調剤(区分なし・準先発品)

変更調剤については、平成24年3月の厚労省通知「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」において、現行ルールが示されています。

  • 先発品→後発品
  • 後発品→後発品
  • 一般名→後発品・先発品

というのが原則的なルールですが、この変更調剤の意図は、後発品の使用促進であるので、一般名処方を除き、薬価基準収載品目リスト(以下、薬価収載リスト)上の後発品の区分でない薬剤へは、原則、変更調剤はできません。

ここで、一般的に捉えられている後発品のイメージといえば、  

アトルバスタチン錠5mg「サワイ」

のように成分名の後に剤形、規格そしてメーカー名が付与されているものだと思います。

では、次に挙げる医薬品はどうでしょうか?    

  • コルヒチン錠0.5mg「タカタ」
  • プレドニゾロン錠1mg「NP」
  • ホスホマイシンカルシウムカプセル500mg「日医工」
  • コデインリン酸塩散1%「タケダ」

実は、これらは全て後発品ではありません。

後発品であるかどうかを確実に判断するためには、薬価収載リストを参照するわけですが、当該リストには、

  • 先発品
  • 後発品

の他に

  • 準先発品
  • 空欄(区分なし)

に該当する医薬品も多くあります。

そして、上記に挙げたの医薬品は、全て「空欄(区分なし)」に分類されます。

さらに、上記のこれらにおける変更調剤に関しては、できるものとできないものがあります。  

ここでは、薬価収載リスト上の「空欄」に分類される医薬品の背景を紐解き、変更調剤の可否を解説していきます。

準先発品・空欄(区分なし)の後発品変更の可否

変更調剤のルールについては、前述の厚労省通知に示され、大まかには下記のとおりです。(以下、変更不可の指示がない前提で話を進めていきます。)

銘柄名処方
対応する後発品へ変更調剤ができる。
(別規格、類似別剤形の場合は、同額以下ならOK)

一般名処方
対応する後発品へ変更調剤ができる。
(別規格、類似別剤形の場合は、同額以下ならOK)
対応する同一規格・同一剤形の先発品へ変更調剤ができる。

このルール自体は、特段複雑でもないため、普段から問題なく運用されているだろうと思います。

ちなみに、細かい具体例を挙げながら網羅的かつ簡素にまとめられた資料が、日医工医業経営研究所が運営するStu-GEというサイトでオープンにされているので、是非参考にしてみてください。

さて、問題は変更調剤が可能かどうかの対象医薬品の判別です。  

一般名処方というは、そもそも後発品が存在する医薬品に対して行うものなので、これは全て変更調剤が可能です。

問題は、銘柄名処方の場合、とりわけ薬価収載リスト上で「準先発品」「空欄(区分なし)」の医薬品は変更調剤が可能か?というところだと思います。  

では、それぞれを細かくみていくことにしましょう。

代表的な準先発医薬品と変更調剤

代表的な準先発医薬品です。

  • ラシックス
  • テグレトール
  • フルイトラン 

この銘柄名処方は、変更調剤可能です。
準先発品には、対応する後発品が存在するからです。

なぜ、「準先発品」という区分になったのかというと、昔は「先発品」「後発品」の概念がなかったのですが、平成14年3月に厚労省から通知が出され、昭和42年より後に承認された医薬品を「先発品」と「後発品」に分類することになりました。一方で、昭和42年以前の医薬品の薬価収載リスト上における分類は、空欄(区分なし)のままということになります。

しかし、のち(昭和42年より後)に後発品が上市し、かつ価格差があった場合、元の昭和42年以前の医薬品は、状況的には、先発品に相当するという考えから、「準先発品」という分類になりました。

時間軸のイメージ

空欄(区分なし)の薬剤と変更調剤

空欄(区分なし)は下記の3つに分類されます。(漢方薬は除く)

  • 昭和42年以前に承認された医薬品
  • 局方品
  • 基礎的医薬品

昭和42年以前に承認された医薬品

昭和42年以前に承認された医薬品の代表的な医薬品は下記のとおりです。

  • メジコン錠15mg 
  • ユベラ錠50mg
  • コルヒチン錠5mg「タカタ」

これらは、前述のとおり古い薬という理由から、先発品、後発品の区分はありません。
コルヒチン錠5mg「タカタ」はいかにも後発品のような名称ですが、薬価収載リスト上は空欄(区分なし)なので注意が必要です。  

では、変更調剤についてはどうなのかというと、メジコンとユベラは同価格の後発品が存在するので変更調剤が可能です。ここで、前述の理論で行けば、当該後発品が、0.1円でも安ければ、メジコンとユベラは「準先発品」になりますね。

局方品

局方品の代表的な医薬品は下記のとおりです。

  • プレドニン錠5mg
  • コデインリン酸塩散1%「タケダ」
  • ワーファリン1mg
  • 酸化マグネシウム原末「マルイシ」

この銘柄名処方は、変更調剤はできません。

日本薬局方に収載されている成分規格に合わせて作られた医薬品は、いわゆる「局方品」と呼ばれ、概して古い医薬品が該当し、後発品という概念がありません。

基準となる局方医薬品の特許切れ後に申請・承認された医薬品であっても、後発品ではなく、局方品となります。

例)プレドニゾロン錠5mg「NP」は、プレドニン錠5mgを基準の医薬品として後発品申請し、2000年代に承認されましたが、薬価収載リスト上は空欄(区分なし)であり、局方品として取扱われています。

オルメサルタン等のように、割と新しい医薬品であっても、現在局方収載されている 医薬品は多くありますが、これは承認後一定期間が経過した後に収載されたもので、 昔の局方品と成り立ちが異なり、ここでいう局方品には該当しません。

覚えておきたいのが、一般名で記載された場合は、変更調剤が可能という点です。

一般名 変更調剤可能商品名例
プレドニゾロン錠5mg プレドニゾロン錠5mg「NP」
プレドニゾロン錠5mg「タケダ」
プレドニン錠5mg
ワルファリンカリウム錠1mg ワルファリンK錠1mg「トーワ」
ワルファリンK錠1mg「NP」
ワーファリン錠1mg

局方品であるのに、別規格に後発品が存在する特殊な医薬品として、酸化マグネシウムがありますが、下記の場合は、疑義照会が必要です。

別規格への薬価が高くなる変更だからです。

酸化マグネシウム原末「マルイシ」(局方品 10g15.1円)
→マグミット細粒83% (後発品 10g126円)

基礎的医薬品

基礎的医薬品の代表的な医薬品は下記のとおりです。

  • ミノマイシン顆粒2%
  • ミノサイクリン塩酸塩顆粒2%「サワイ」
  • ホスミシン錠500
  • ホスホマイシンカルシウムカプセル500mg「日医工」
  • パセトシン細粒10%
  • サワシリン細粒10%
  • ワイドシリン細粒10%・20%
  • L-ケフレックス顆粒
  • セファレキシン顆粒500mg「JG」

この区分は、平成28年度から新たに始まったもので、医療現場で一定の需要があるにもかかわらず、不採算医薬品であるために今後の安定供給が危ぶまれる医薬品に対して、薬価引き上げ等の優遇措置を施したものです。優遇措置前に「先発品」「後発品」であった区分は、基礎的医薬品になることで外れ、「空欄(区分なし)」となりました。

そして、基礎的医薬品の変更調剤に関しては、平成28年9月15日付厚労省事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その7)」に示されており、従前に可能であったものは、そのまま可能ということです。

問)処方せんにおいて変更不可とされていない処方薬については、後発医薬品への変更調剤は認められているが、基礎的医薬品への変更調剤は行うことができるか。

(答)基礎的医薬品であって、平成28年3月31日まで変更調剤が認められていたもの(「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等)については、従来と同様に変更調剤を行うことができる。 なお、その際にも「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成24年3月5日付け保医発0305第12号)に引き続き留意すること。

引用元 平成28年9月15日付厚労省事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その7)」

つまり、基礎的医薬品に分類される前に先発品―後発品の関係にあった医薬品は、現行ルールに則って変更調剤が可能です。

変更可能なケース例

ミノマイシン顆粒2%
→ミノサイクリン塩酸塩顆粒2%「サワイ」     

ホスミシン錠500  
→ホスホマイシンカルシウムカプセル500mg「日医工」

パセトシン細粒10% 
→ワイドシリン細粒20%

まとめ

剤形、規格変更等の細かい変更調剤ルールには従うことを前提とすると、銘柄名処方されたものに関しては、対応する後発品が存在する場合は、全て変更調剤が可能です。

例外として、局方品は、一般名記載の場合のみ可能であり、基礎的医薬品は、平成28年3月31日時点で変更調剤が可能であったものは可能ということです。

分類 変更調剤の可否
先発品 対応する後発品があればOK
後発品 対応する後発品があればOK
準先発品 対応する後発品があるのでOK
空欄 局方品 一般名ならOK
昭和42年以前の医薬品 対応する後発品があればOK
基礎的医薬品 従前変更調剤が可能であったものならOK

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この記事を書いた人

たま

たま

大阪府出身 薬剤師

岐阜薬科大学を卒業後、新卒で某省にて3年間勤務。
そこで心身ともに鍛えられたのち、現場で直接的な貢献がしたいという思いから調剤薬局薬剤師へ転身。
現在未病、セルフメディケーション領域での薬剤師のかかわり方について一意奮闘中。

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