【アボルブ】経皮吸収に注意!!お孫様が帰って嬉しそうな男性への服薬指導

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

患者 山下さま(仮名) 68歳 男性 

【処方】
アボルブカプセル0.5mg 1cap
1日1回 朝食後 (3ヶ月継続処方)
併用薬 なし

薬剤師 :山下さん、お待たせいたしました。

山下さん:おぉ、にいちゃんひさしぶりやな!!

薬剤師 :山下さん、なんだか嬉しそうですね!!何かいいことありましたか?

山下さん:ようわかったなぁ、にいちゃん!!
*****実は昨日から娘家族が里帰り出産で東京から帰っててな、2歳の孫が可愛くて可愛くて仕方ないんや。

薬剤師 :そうですか。お孫さんも山下さんに会えて喜んでいるでしょうね。

 

さてこの会話で、薬剤師の皆さんならどのような服薬指導を展開していきますか??

「お薬は、引き続き同じお薬です。お大事に」

では、薬剤師失格でしょう。

会話の中から、患者さまの背景を考え、より適切なアドバイスを行う事こそが、

服薬支援」

であります。

山下さまのケースだと、
お孫様がまだ小さいこと、娘様が妊娠中というキーワードから注意しなければいけないことがあります。

それはアボルブが、経皮吸収される点です。

小児や女性は禁忌となっており、濡れた手で触った場合、経皮吸収され血中ジヒドロテストステロンが低下する可能性があります。
小児には安全性が確立されておらず、特に妊娠中や妊娠の可能性のある女性には胎児に悪影響を与える可能性があることから使用ができない薬剤です。

うさぎでの動物実験で胎児(オス)の生殖器のメス化が報告されているためです。

このような場合、
お孫様だけでなく、妊娠中の娘様にも薬は触れないように注意喚起しなければいけません

この薬剤師さんは


薬剤師

このお薬は、皮膚から吸収されますので、お孫さんの手の届かないところで、直射日光、高温、湿気を避けて保管してください。胎児にも影響がでるといけないので、娘様にも触らせないでくださいね。

 

と説明し、山下さまも喜んで帰っていかれたのでした。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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