メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)の副作用を防止するために葉酸(商品名:フォリアミン)が併用されるケースがあります。
しかし、メトトレキサートによる重篤な副作用発現時に、通常はフォリアミンでなく活性型葉酸のホリナート(商品名:ロイコボリン)が投与されます。
このことをロイコボリンレスキュー(ロイコボリン救済療法)と呼びます。
葉酸製剤(フォリアミン)は葉酸レダクダーゼやジヒドロ葉酸レダクターゼなどの酵素によって活性型に変換されてDNAの合成に関与します。
一方で、ロイコボリンは細胞の葉酸プールに取り込まれ上記の酵素を介さず活性型葉酸となります。
では、なぜメトトレキサートによって重篤な副作用が生じた場合に、フォリアミンでなく、ロイコボリンが投与されるのでしょうか。
メトトレキサートとロイコボリンの作用部位をみてみましょう。
メトトレキサートは葉酸拮抗薬で、葉酸が活性型になる過程(ジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸)を阻害します。
メトトレキサート投与時に葉酸を投与したとしても、葉酸が活性型になるのを邪魔されてしまいます。
そのため、副作用防止目的で葉酸を投与する場合、通常はメトトレキサート最終投与から24〜48時間以内の間隔をあけます。
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図1 メトトレキサート・ロイコボリン作用機序
一方でロイコボリンは活性型になるまでにジヒドロ葉酸レダクターゼによる分解を必要としないため、メトトレキサートとの投与間隔をあけなくても効果を発揮するのです。
このようにメトトレキサートの作用機序を理解しておけば、副作用防止目的には葉酸製剤のフォリアミン、重篤な副作用発現時には活性型葉酸製剤のロイコボリンが使用されるのが納得できるかと思います。
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