ビスホスホネート系薬剤が飲みづらい患者への処方提案事例

この記事を書いた人

今井雄基(いまいゆうき)

株式会社倉敷健康企画
管理薬剤師 認定実務実習指導薬剤師
岡山県出身

こんにちは。
メディカルライターの今井です。

骨粗鬆症治療薬について、服薬管理をしている施設職員の方から相談があったのでその症例をご紹介します。

2週間に1回、門前クリニックから訪問診療をされているグループホーム在住の90代女性。

先日、骨粗鬆症治療のため、ボノテオ錠50mg(一般名:ミノドロン酸水和物)を4週に1回投与開始しました。

数日後、施設職員から電話があり


施設職員

多めの水で飲ませたつもりでしたが、ボノテオ錠を噛んで服用してしまっているようです。

と訴えがありました。

錠剤が大きく飲みづらいことで、このままだと服薬のたびに苦痛を伴うことになります。
また、ボノテオの副作用による上部消化管障害、粘膜障害の可能性も出てくることから別剤形や薬剤の変更を検討しました。

まずはメーカーに問い合わせをしましたが、ボノテオ錠はフィルムコーティング剤で副作用を抑えているため粉砕は推奨できません、との返答でした。

他のビスホスホネート系薬剤についても同様に副作用の懸念から粉砕は望ましくないため変更はできませんでした。

そこで、週1回服用になりますが別製剤のボナロン経口ゼリー35mg(一般名:アレンドロン酸ナトリウム水和物)があることを思い出し、これまでの経緯とボノテオ錠が副作用の懸念から粉砕は望ましくないこと、ボナロン経口ゼリー35mgへの変更を医師に提案しました。

こちらも噛んで飲んでしまって口の中にゼリーが残ってしまうと同様に粘膜障害の副作用が起こりやすくなります。
しかし、ゼリーを飲んでもらった後に水分を摂ってもらうことで副作用発現の軽減になるでしょうとこちらで判断して医師にお伝えしました。

もしボナロン経口ゼリー35mgに変更後、上記のような副作用が見られる場合は月1回静注タイプのボンビバ静注(一般名:イバンドロン酸)への変更も一緒に提案しました。

提案後に気づいたのですが、週1回製剤のビスホスホネート系薬剤であればボノテオ錠よりも錠剤が小さいため噛まずに服用が可能だったかもしれません。

他にも年1回点滴静注のリクラスト点滴静注(一般名:ゾレドロン酸水和物)というのもありますが、門前クリニックの採用薬ではなかったため今回は情報提供しませんでした。

今回の事例のように、高齢患者の服薬困難事例が出てくるため、薬局にある在庫だけではなく、様々な剤形について知識を増やしておく必要があるな、と感じた症例でした。

関連記事
ビスホスホネート(BP)一覧・作用機序・服薬指導の要点(内服・注射)

この記事を書いた人

今井雄基(いまいゆうき)

株式会社倉敷健康企画
管理薬剤師 認定実務実習指導薬剤師
岡山県出身

実習先の薬局で在宅医療に興味を持ちそのまま就職、2009年より現職。
調剤、在宅医療、OTCなど地域密着薬局での経験を元に現場に役立つ情報を発信してまいります。

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「今井雄基」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

CAPTCHA


※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る