処方例
定期の内服薬に追加
モーラステープ20mg 35枚
上腕部 1日1回 1枚
患者A「ゴルフの練習していて腕を痛めてね。ついでに出してもらったんだ。」
内科の定期薬の処方ついでにモーラステープを出してもらった患者Aさん。
「ゴルフをする」、「モーラステープ」と聞いて、
まず頭に浮かべなければいけないのは「光線過敏症」でしょう。
薬局には他にロキソニンテープ、ボルタレンテープがあります。
さて薬剤師の皆さんはDrに光線過敏症の説明をして薬剤の切り替えを提案しなければなりません。
あなたなら何の薬剤を提案しますか??
またDrにその根拠も聞かれた場合どう説明しますか??
このような場合、おそらくだいたいの薬剤師さんは
「ロキソニンテープを提案します。なぜなら光線過敏症が起こりにくいからです。」
と回答するのではないでしょうか。
しかし、このレベルの回答なら薬学部を卒業していなくても説明ができます。
もし構造式を見ただけで光線過敏症が起こるかどうか予測できたらカッコいいと思いませんか??
光線過敏症が起きる薬剤かどうか構造式で瞬時に判断ができるたった一つのポイントがあるのです。
それはズバリ、
共役構造の間に非共有電子対(ローンペア)があるかどうか? という事。
一瞬、
「???????」
となったかもしれませんが、とてもシンプルなので続けて説明していきます。
・共役構造とは二重構造と単結合の繰り返しの構造の事。(ベンゼン環など)
・非共有電子対(ローンペア)とは炭素(C)以外の酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)の原子中にあり、結合に関わっていない電子の2つのペアの事。
モーラス(ケトプロフェン)の構造式の特徴
ケトプロフェンの構造式には光線過敏症を引き起こす原因となる、ベンゼン環という共役構造の間に、カルボニル基という非共有電子対(ローンペア)が存在します。
では、なぜ共役構造に挟まれた非共有電子対の構造が光線過敏症を引き起こすのでしょうか?
紫外線には非共有電子対(ローンペア)の電子の一つを通常の位置と異なる場所へ飛ばすといった特徴があります。
飛ばされた電子はすぐに元に戻ろうとするのですが、共役構造の中に飛ばされた電子はなかなか元に戻ることができません。共役構造の中に電子が飛ばされた状態では、反応性が高くなり周囲のタンパク質と結合し、抗原抗体反応が起こります。
では、他のボルタレン、ロキソニンの構造式をみてみたいと思います。
ボルタレンにはベンゼン環という共役構造の間に非共有電子対が存在します。
では、ロキソニンはどうでしょう?
共役構造に、非共有電子対(ローンペア)の組み合わせは・・・・
ない!!
ですよね。
構造式からもロキソニンテープは光線過敏症を起こりにくい事が説明できたと思います。
今後その他の薬剤に関しても構造式を見ただけで「光線過敏症が起こるかどうか」の予測が可能となるのです。
「構造式から副作用を予測する」
これぞ薬剤師だからこそ出来る事で、構造式から副作用が予測できるとなんか格好いいですよね!!
(参考図書:くすりのかたち 著者 浅井考介 柴田奈央 ←こちらにはもっと分かりやすく細かく書かれています。)
※また、ロキソプロフェンナトリウムの紫外線吸収スペクトルは221~225nmで吸収極大を示しますが、290nm以下の紫外線は自然光に含まれておりません。この知見からも、ロキソプロフェンナトリウム含有外用剤で光線過敏症を起こす可能性は低いとも言われています。
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