ノイロトロピンの作用機序・NSAIDsの併用は可能?

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤

ノイロトロピンの成分名なのですが、薬情の説明書きを見て

「ウイルス!!??」

とびっくりされる患者さんがいらっしゃった経験はないでしょうか。

普段整形外科などの薬を扱わない場合、単なる「鎮痛剤」として捉える薬剤師さんもいらっしゃると思うので(僕自身がまさにそうでした)、ノイロトロピンの作用機序、特徴などまとめてみました。

ノイロトロピンの作用機序・痛みのメカニズム

まず、痛みのメカニズムについて簡単に説明したいと思います。

末梢で刺激(痛み)を受けると、痛みのシグナルは

脊髄後角⇒延髄・橋⇒中脳⇒大脳皮質

を通じて痛みの強さや部位などを認知します。

一方で、これらの上行性の痛みの伝達を抑える「下行性疼痛抑制系」が存在し、末梢からの痛みのシグナルを抑え、痛みを軽減しています。

ノイロトロピンはこの「下行性疼痛抑制系」を活性化することで痛みを軽減すると言われています。

ノイロトロピン作用機序

また、その他にも「末梢循環改善作用」、「ブラジキニン遊離抑制作用」があるとも言われています。

NSAIDs(ロキソニン・ボルタレン)と併用できるの?

ノイロトロピンは下行性疼痛抑制系を活性化することで痛みを軽減しますが、ロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム)やボルタレン(一般名:ジクロフェナクナトリウム)などのNSAIDsはPG(プロスタグランジン)の生合成を阻害することで消炎鎮痛効果があります。したがって、作用が異なるため、臨床ではしばしば併用されるケースがあります。

メーカーにも併用による副作用の増強などの報告はされていないとの事です。

副作用で胃腸障害は少ない

ノイロトロピンの作用機序(下行性疼痛抑制系を活性化)から考えても、NSAIDsのような胃腸障害は少ないと考えられます。

メーカーが公表している副作用データを見ていると消化管障害の発生率が0.65%で「胃不快感0.23%」「悪心・嘔吐0.13%」となっています。

まとめ

薬学部時代に、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤について学ぶ機会がほとんどないためか、臨床現場でもなかなかノイロトロピンの作用にまで焦点をあてる機会が少なかったかもしれません。

「ウイルスって書いてあるけど大丈夫!?」
「痛み止めだけど胃には大丈夫!?」
「他にも痛み止め飲んでるけど大丈夫??」

といった患者さんからの質問があった際にお役にたてれば幸いです。

この記事を書いた人

伊川勇樹

伊川勇樹(いかわゆうき)

シナジーファルマ株式会社 代表取締役
薬剤師

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

「インターネットをつうじて薬学業界の発展と地域医療の活性化に貢献する」
というミッションのもと「薬剤師」と「ITベンチャー経営者」の二刀流で日々奮闘中。

1983年岡山県倉敷中央病院で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都、大阪で14年間過ごし、現在は沖縄県民。
1歳の息子と妻の3人家族。

当面の目標は、
「息子の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて努力をしていたら、なんとかなる!!」

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