なぜセレコックスはCOX2選択性なのか?構造式から考える

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

セレコックスと言えば、

「NSAIDSとしては胃に優しい」

「COX2を選択的に阻害する」

といったイメージのある薬剤だと思います。 

では、なぜセレコックスがCOX2を選択的に阻害するのでしょうか?

セレコックスの構造式からCOX2を選択的に阻害する理由を解説したいと思います。

COX1とCOX2の違い・セレコックスが胃腸負担の少ない理由

まずはCOX1とCOX2の違いについてみていきたいと思います。

COX1 とは?
胃、血小板、腎臓その他のほとんどの組織で常時発現しています。 COX-1が産生するプロスタグランジンは胃粘液分泌増加、血流増加の作用を持ち、胃粘膜保護などの生理機能の維持に関与しています。

COX2 とは?
活性化マクロファージや滑膜細胞においてサイトカイン等の炎症調節物質により急速に誘導されます。COX-2が産生するプロスタグランジンが炎症を増悪させます。

通常のNSAIDSは胃粘液分泌増加、血流増加の作用を持つCOX1も阻害するため、胃に負担がかります。一方セレコックスはCOX1を阻害しないため、通常のNSAIDSに見られる胃腸障害が見られにくいのです。

セレコックス・ロキソニン・ボルタレンの構造式比較・違い

ではなぜ、セレコックスはCOX1を阻害しないのでしょうか? セレコックスの構造式を見てみたいと思います。

セレコックス構造式 ロキソニン セレコックス ボルタレン 比較  

セレコックスはコキシブ系と言われ、NSAIDSの中では中性の薬剤であり、他のNSAIDS である、ロキソニンやボルタレンに比べ少し複雑な構造式となっています。

ではCOX1、COX2上でどのようにセレコックスが作用するか見てみましょう。
COX1  COX2違い

 

COX1の入り口は狭く、ロキソニンやボルタレンは通過できますが、セレコックスは構造式上通過できないように作られています。 一方、COX2は入口が広く、柔軟なループ構造をとっているため、セレコックスがフィットするようになっています。

つまり、セレコックスがCOX2に選択的に作用するのは、構造式上COX1を通過できないように作られているからなのです。

参考図書:くすりのかたち 著者 浅井考介 柴田奈央 
こちらにはもっと分かりやすく細かく書かれています。

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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