ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)の特徴・禁忌・作用機序は?

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

変形性関節症の消炎・鎮痛薬であるロコアテープ(エスフルルビプロフェン・ハッカ油)が2016年1月21日に発売されました。

ロコアテープの主成分であるエスフルルビプロフェンは、アドフィードやゼポラス、ヤクバンの成分である「フルルビプロフェン」の光学異性体(S体)になります。

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)を調剤するにあたり注意点や知っておく必要があると感じたことをまとめてみました。

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ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)の作用機序は?

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)は、シクロオキシゲナーゼ活性を強力に阻害することにより消炎・鎮痛効果を示します。

インタビューフォームからも「フルルビプロフェン」に比べて強力なCOX1・2阻害作用があることが想定されます。

組換えヒトCOX-1又はCOX-2に試験物質を加えて前処理した後、基質として14C標識アラキ ドン酸を添加して反応させた。反応後、未反応のアラキドン酸を除去し、反応液中の放 射活性を測定した。その結果、エスフルルビプロフェンはヒトCOX-1及びCOX-2に対して 濃度依存的な阻害作用を示した。IC50値で比較すると、エスフルルビプロフェンのCOX-1 及びCOX-2阻害活性はフルルビプロフェンの2倍、R-(-)-フルルビプロフェンの1000倍以上強いことが示唆された。

引用元 ロコアテープインタビューフォーム

 

 

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)の注意点は?

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)の用法は「1日1回、患部に貼付する。同時に2枚を超えて貼付しないこと。」

となっています。

同時に2枚使えない理由はこちらになります。

本剤2枚貼付時の全身曝露量がフルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は2枚を超えないこと。本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。

引用元 ロコアテープ添付文書

フルルビプロフェン(商品名:フロベン40mg)の1日3回投与時と、ロコアテープ2枚を貼った時の全身曝露量が同程度なので、内服の消炎鎮痛剤との併用も可能な限り控えましょうとされています。

 

ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)の禁忌は?

下記のように禁忌は10項目と他の消炎鎮痛外用剤に比べ多いのが特徴です。

1.消化性潰瘍のある患者
プロスタグランジン合成阻害作用による胃粘膜防御能の低下により、消化性潰瘍を悪化させるおそれがある。
2. 重篤な血液の異常のある患者
血液障害があらわれ、血液の異常を更に悪化させるおそれがある。
3. 重篤な肝障害のある患者
肝機能異常があらわれ、肝障害を更に悪化させるおそれがある。
4. 重篤な腎障害のある患者
プロスタグランジン合成阻害作用による腎血流量の低下等により、腎障害を更に悪化させるおそれがある。 
5. 重篤な心機能不全のある患者
プロスタグランジン合成阻害作用による水・ナトリウム貯留が起こり、心機能不全が更に悪化するおそれがある。
6. 重篤な高血圧症のある患者
プロスタグランジン合成阻害作用による水・ナトリウム貯留が起こり、血圧を更に上昇させるおそれがある。
7. 本剤の成分又はフルルビプロフェンに対し過敏症の既往歴のある患者
8. アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者
喘息発作を誘発するおそれがある。 
9. エノキサシン水和物、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、プルリフロキサシンを投与中の患者
10. 妊娠後期の女性

特に薬局においては、「9」の薬物相互作用による禁忌に注意が必要になります。

エノキサシン水和物、ロメフロキサシン(薬品名:ロメバクト、バレオン)、ノルフロキサシン(薬品名:バクシダール)、プルリフロキサシン(薬品名:スオード)に関しては、ニューキノロン系抗菌剤のGABA阻害作用が併用により増強され「痙攣」を誘発する可能性があるため禁忌となっています。

まとめ

ロコアテープの特徴として

・ヤクバン・ゼポラス・アドフィードなどの成分である「フルルビプロフェン」の光学異性体(S体)である。
・同時に2枚を超えて貼らないよう注意すること。
・内服の消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けること。
・ニューキノロン系の薬剤に禁忌があること。

くらいはおさえておきましょう。

また通常添加物であるハッカ油が有効成分として表示されていますが、分量が薬用量に近似していることから有効成分として記載されているそうです。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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