カルシウム受容体作動薬一覧・作用機序（レグパラ・オルケディア・パーサビブ）

腎臓の機能が低下し、低カルシウム血症、高リン血症が続くと副甲状腺ホルモン（PTH）の分泌が亢進し、二次性副甲状腺機能亢進症（Secondary Hyperparathyroidism :SHPT）となってしまいます。

副甲状腺ホルモン（パラトルモン）とは？

副甲状腺は甲状腺の左右両葉の裏側の上下に2コずつ、計4つある米粒大くらいの臓器です。

副甲状腺から分泌されるPTH（パラトルモン）は血清Ca濃度や血清P濃度、骨のCa量を調節する働きを担っています。

血清Ca濃度が低下したり、血清P濃度が上昇すると、PTH（パラトルモン）の分泌が増加し、骨からCaを溶かして血清Caを上昇させたり、Pを排泄させて血清Pを低下させるように働きます。

腎機能が低下すると二次性副甲状腺機能亢進症となる理由

副甲状腺ホルモンが過剰に分泌される原因は「低Ca血症」と「高P血症」です。

活性型VD₃は腎臓で産生されるのですが、腎機能が低下すると活性型VD₃がうまく生成されません。
活性型VD₃が低下すると、Caの吸収も低下しますので、結果的に「低Ca血症」となってしまいます。

また腎臓では食べ物から吸収したP（リン）を尿中から排泄させる働きがありますが、腎機能が低下するとPの排泄が低下し、「高P血症」となってしまいます。

このように腎機能が低下することで「低Ca血症」と「高P血症」となり、PTH（パラトルモン）の分泌が亢進し、二次性副甲状腺機能亢進症（SHPT）となるのです。

二次性副甲状腺機能亢進症の「線維性骨炎」「異所性石灰化」

二次性副甲状腺機能亢進症となると、骨から血液中にCaやPが溶け出すことによって、「線維性骨炎」や「異所性石灰化」を発症します。

線維性骨炎となると、骨がスカスカになって骨折しやすくなります。

異所性石灰化では骨から溶けたCaやPが骨以外の血管、関節、眼の結膜などで石灰化をおこします。
血管で石灰化が進行すると、心筋梗塞や心不全、脳梗塞、脳出血などのリスクが高くなってしまいます。

二次性副甲状腺機能亢進症治療薬一覧・作用機序

二次性副甲状腺機能亢進症に処方されるのはカルシウム受容体作動薬と呼ばれる薬剤です。

カルシウム受容体作動薬は経口薬のレグパラ（一般名：シナカルセト塩酸塩）、オルケディア（一般名：エボカルセド）と静注薬のパーサビブ（一般名：エテルカルセチド塩酸塩）です。

副甲状腺細胞表面のCa受容体に直接作用してPTH分泌を抑えるとともに、PTH生合成や副甲状腺細胞増殖も抑えます。

オルケディアは次世代のカルシウム受容体作動薬としてレグパラによる上部消化管の副作用、CYP2D6阻害作用の軽減を期待して開発された薬剤です。