こんにちは。
健康食品の話題を担当しているエビデンスエージェントの工藤知也です。
寒い日にはホットココアで一息。
そんな経験は誰しもありますよね。
しかし今後は、寒くなくてもココアを求めるようになるかもしれません。
2016年に、Journal of Investigative Dermatology誌に韓国の研究グループが、 ココアによる肌のシワの改善を報告しました1)。
ココアと肌のシワ?
ちょっと想像がつきませんが、遺伝子レベルで深く関係しているのです。
そもそも、肌のシワをどのように評価するのでしょうか?
これは毛の無いマウスに紫外線をあてて人工的に作り出します。
そして、ココアを8週間飲ませてみると、肌のシワが改善していた訳です。
しかし、ココアが何をしているのでしょうか?
これを理解するためには、「なぜシワができるのか」を考える必要がありそうです。
シワを理解するポイントはプロテアーゼと呼ばれる蛋白質を分解する酵素にあります。
マウスに紫外線を当てるとプロテアーゼが増加してシワが出来ます。
ところがココアを飲んでいると、
プロテアーゼの発現を抑えて、さらにはプロテアーゼを阻害する蛋白質の発現を増強するのです。
ココアでホット一息している間に、 体の中では遺伝子レベルで変化してお肌のシワを防いでいたのです。
ちなみに、ココアにより788種の遺伝子の発現が変化していました。
薬局でも糖質をカットしたチョコレートを販売する機会が増えているのではないでしょうか?
買うのを迷っている患者さんがいたら絶好の機会です。
チョコレートを交えてお肌の話をしたら患者さんとの距離を縮められるかもしれません。
ココアには他にも血圧を下げる効果があるようです2)。
関連した論文をまとめて解析するメタ解析から、
摂取期間は2~18週と短いながらも、健常人856名においてココアが血圧約3mmHg下げる効果を理解できます。
この効果は、ココア内のフラボノイドによる血管内皮細胞でのNO産生の増加が原因です。
肌のシワとは異なる効果になります。
また心血管病リスク3)や男性の糖尿病発症リスク3)を減少させるという報告もあります。
今後もココアから目が離せませんね。
健康食品とは主な目的は栄養であったり嗜好であったりするものですが、
頭の片隅で健康の効果を期待できる食品です。
チョコレート(ココアと原料は同じ)は私達の生活から切っても切り離せないものになっています。
その意味では嗜好品としての食品です。
しかし、そこにほんの少しお肌への期待が膨らめばそれは健康食品とも言えるかもしれません。
毎朝テレビで見る占いのように、健康食品の情報が生活にメリハリをつける切っ掛けとなり、患者さんがより積極的に治療を進める一助になれば嬉しいですね。
今回は、肌シワを改善する可能性としてココアに注目しました。
ココアといえばポリフェノールの効果かなと連想しますが、
遺伝子レベルで効果を発揮しているとは驚きでした。
ココアが何だか有難い食品に見えてきますね。
引用文献
1) Kim JE, et al. Oral supplementation with cocoa extract reduces UVB-induced wrinkles in hairless mouse skin. J Invest Dermatol. 2016; 136(5): 1012-21. PMID: 26854493
2) Ried K, et al. Effect of cocoa on blood pressure. Cochrane Database Syst Rev. 2012; 8: CD008893. PMID: 22895979
3) Katz DL, et al. Cocoa and chocolate in human health and disease. Antioxid Redox Signal. 2011; 15(10): 2779-2811. PMID: 21470061
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