肉の摂取量と乳がんの深い関係

こんにちは。
健康食品を担当しているエビデンスエージェントの工藤知也です。

今日は肉の摂取量と癌の関係に注目します。
一部の方を除いて、肉を食べない生活なんて考えられないですよね。
癌と関係があると言われてもそれは無理なお願いです。
なにより、肉はたんぱく質の供給源として老若男女に例外なく重要です。

しかし、中年女性は肉の摂取量を減らして意識的に魚に変えていく必要があるかもしれません。
そんな必要性を連想する報告がありました。

肉の摂取量が多いと乳がん診断後の死亡リスクが高くなる

ノースカロライナ大学のParadaらは、2017年の米国国立がん研究所機関誌に肉の摂取量が多いと乳がん診断後の死亡リスクが増加すると報告しました1)

筆者らは、1996年から1997年にかけて乳がんと診断された1508名の女性を対象に、過去平均17.6年にわたり焼いたり燻製にしたりした肉の摂取状況を調査しました。

すると、肉の摂取量が中央値より上位のグループでは、あらゆる原因を含む死亡リスクが高値を示していたのです。また、乳がんを直接的な原因とする死亡リスクについても、有意差は出ていないものの肉の摂取量が多いと増加する傾向にありました。

さらに、乳がんの診断後に肉の摂取量を減らさないと(中央値より上位)、あらゆる原因を含む死亡リスクが31%上昇していました。

また、燻製にした鳥や魚の摂取量が増えると乳がん診断後の死亡リスクが下がるという結果もあり、対応策として利用していきたいところです。

多環芳香族炭化水素と癌の予後

では、なぜ焼いたり燻製にしたりした肉が死亡リスクの増加に寄与するのでしょうか?

これは、肉を焼いたり燻製にしたりした際に産生する多環芳香族炭化水素(PAH; polycyclic aromatic hydrocarbon)によるものと考えているようです1)

PAHはヘテロ原子や置換基を含まない芳香環が縮合した炭化水素で、結腸がん2)乳がん3)の発がんに関係する物質として有名ですが、これまで、がん診断後の予後に影響するか否かは明らかではありませんでした。

当初考えていたよりも、PAHにはより深刻な問題があるようです。

患者さんとの会話に落とし込む

それでは、患者さんとの会話でどのように使っていけば良いか考えてみたいと思います。

例えば、仕事に育児に忙しく、BMI高めでスタチン服用中の中年の女性が来局したとしましょう。


薬剤師

最近、食生活はいかがですか?
油ものが多い物に偏ったりしていませんか?

 


患者

そうね。
忙しいから、どうしても総菜で済ませてしまうこともあるわ。

 


薬剤師

すると、魚よりも肉系に偏っていますかね?

 


患者

子供たちも肉が多いと喜ぶし。

 


薬剤師

そうですね。
お子さんたちは大喜びですよね。

ただ、子供たちと違って、そろそろ食生活を見直す時期に来ています。肉を比較的多く摂るグループでは、乳がん後の死亡リスクが高くなるという結果が最近報告されたんですよ。

 


患者

そうなの?
乳がんというと芸能人でも罹っているから、他人事とは思えないはね。

 


薬剤師

誰にでも病気になる可能性はありますからね。
1週間に1度でも魚の日を意識的にいれていくと相対的に肉の量を減らせますので、いかがでしょうか?「月曜日は、魚の日」なんて具合に。

 


患者
魚は、後で掃除するのが面倒で・・・。

 


薬剤師

フライパンでできる調理法も沢山ありますので是非トライしてみて下さい!
また、お子さんに魚の美味しさを覚えてもらうのも、健康にとって大切なことになります。

 


患者

それも、必要ね。

 


薬剤師

是非、またお話しをお聞かせ下さい!

乳がんというフレーズは、特に今は敏感に患者さんが反応するので、がんの予後というよりも食生活を考えてもらうきっかけとして使えるのではないでしょうか。

次に、来局した時に、話がもっと深く進んでいければ大成功ですね。

まとめ

さて、今回は、焼いたり燻製にしたりした肉を多く摂取していると、乳がん後の死亡リスクを増加させるという報告から薬局での患者さんへのアプローチを考えていきました。

問題のある生活習慣を変えていく試みは、大変難しいわけですが、患者さんの気を引く話題を組み込みながら自然な流れを作っていきたいものですね。

引用文献

1) Parada H Jr, et al. Grilled, Barbecued, and Smoked Meat Intake and Survival Following Breast Cancer. J Natl Cancer Inst. 2017; 109(6): djw299. PMID: 28052933

2) Yusof AS, et al. Perceptions of Malaysian Colorectal Cancer Patients Regarding Dietary Intake: A Qualitative Exploration. Asian Pac J Cancer Prev. 2013; 14(2): 1151-1154. PMID: 23621204

3) Sinha R, et al. Well-done, Grilled Red Meat Increases the Risk of Colorectal Adenomas. Cancer Res. 1999; 59(17): 4320-4324. PMID: 10485479

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この記事を書いた人

工藤知也(くどうともや)

工藤 知也(くどうともや)

エビデンスエージェント代表
http://evidenceagent.com/

薬剤師。博士(医学)。2007年、金沢大学大学院医学系研究科博士課程修了。2009年、ケンタッキー大学医学部博士研究員。帰国後から薬剤師を始め、2013年、科学的知見に基づいた医薬品情報を患者様向けに発信するエビデンスエージェントを開業。

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