こんにちは。
エビデンスエージェントの工藤知也です。
このシリーズでは保険薬局で扱いやすい健康食品に注目して、
今すぐ販促に使える情報をお伝えしています。
今回は、肥満や糖尿病で意識する「低カロリー食品」に注目していきます。
私たちは、なぜ、甘味を好むのでしょうか?
それは、脳が糖類を重要な栄養素として認識しているからです。
重要の意味は、ご存じの通りエネルギー源としての役割ですね。
何事も、エネルギー補給なしには始まりませんから。
しかし、糖類の過剰な摂取は肥満や糖尿病の原因になります。
何とも悩ましい限りです。
脳が甘味を好む以上、これを精神力で制限しましょうということでは大変なことです。
そこで一つの解決策として、 少量で甘味が強い、あるいは代謝されにくくカロリーが少ない甘味料を開発すれば、 カロリーを過剰に摂取せずに甘味を保つ食品が出来上がるというわけです。
まず思い浮かぶのはブドウ糖ですね。ブドウ糖は、天然に最も広く分布する単糖です。 単糖とは、二糖類や多糖類の基本構成単位の糖でした。
同じく単糖の果糖も有名ですね。果糖は糖類中で最も甘味が強いのが特徴です。
そして、ブドウ糖と果糖から成る二糖類がショ糖で、 ブドウ糖2分子から成るのが麦芽糖でした。
デンプンやグリコーゲンはブドウ糖を貯蔵するための多糖類です。
ちなみに、デンプンやグリコーゲンは「糖」ですが甘く感じません。 ごはんを食べて甘く感じるのは、アミラーゼにより分解されたブドウ糖等の甘味です。
また、「砂糖」は、甘味調味料の総称で、主成分はショ糖ですが化学の単語ではありません。
それでは、少量で甘味が強い、あるいは代謝されにくい(低カロリー)甘味料をどのように開発したのでしょうか?
これは、医薬品の開発戦略と同じで、天然で働く物質(ブドウ糖や果糖)の構造を少し変更することによります。
具体的には、
ブドウ糖や果糖のカルボニル基を還元したアルコール(糖アルコール)が有名です。
甘味の測定は、10%(W/V)のショ糖水溶液を基準にします。
検定甘味料の様々な水溶液濃度を調製して、
10%ショ糖水溶液と同じ甘味を感じる濃度を人の味覚により判断します。
甘味度は、ショ糖水溶液濃度(10)を検定甘味料の水溶液濃度で除して算出します。
例えば、5%検定甘味料水溶液で10%ショ糖水溶液と同じ甘味になるのであれば、それは甘味度2.0ということになります。
それでは、代表的な甘味料について、甘味度とカロリーから比較してみましょう。
以下に、各甘味料のポイントを列挙します。
スクラロースは、ショ糖のヒドロキシ基を選択的に塩素で置換した化合物。
甘味度はショ糖のなんと650倍!しかも、ノンカロリー。
ノンカロリーの清涼飲料水では大抵入っている。
ソルビトールは、ブドウ糖に対応する糖アルコール。
甘味度はブドウ糖と同程度でカロリーが少ない。
還元麦芽糖は、麦芽糖に対応する糖アルコール。
甘味度はブドウ糖と同程度でカロリーはソルビトールより少ない。
商品としてはマービーが代表格。 カロリーが少ないからと言って、たくさん使えば同じこと。
キシリトールは、五炭糖のキシロースに対応する糖アルコール。
甘味度はショ糖と同程度でカロリーはソルビトールと同程度。
虫歯になりにくい特徴からガムでの使用が有名。
ステビアは、キク科多年草植物ステビア葉の甘味成分。
甘味度は、ショ糖の最大300倍で実質ノンカロリー。
ポカリスエットでは、ステビア入りの商品があったが現在は販売されていない。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンが結合したジペプチド。
甘味度は、ショ糖の最大200倍でノンカロリー。味の素のパルスイートに使用。
保険薬局では、 減量や血糖コントロールのために低カロリー食品を紹介する機会が日常的にありますね。
しかし、 低カロリーにも関わらず甘味を実現する方法を知る薬剤師は少ないのではないでしょうか。
代表的な甘味料の特長を知ることで、低カロリーを上手に表現して患者さんへのアプローチに活かしていきましょう。
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