「アレルギー性鼻炎治療」漢方薬の使い分け・特徴~これだけは知っとけ

この記事を書いた人

スギ

薬剤師

こんにちは、薬剤師バーテンダーのスギです。

鼻炎は厄介ですよね。私は基本的に症状が出ないので、安穏と生活しておりますが、症状を訴える患者様はとても辛そうです。

中には

「あーーー!!!鼻うぜぇ、もう鼻取りてぇ」

とか、

「目ぇかひぃーーー!!!目ん玉取り出して洗いてぇ」

など、とてつもない比喩表現で症状の辛さをアピールする方もいますが、その度に私は

「いやぁ、それは分かるけど実際やったら後悔すると思うぞ」

と密かに思っているのであります。

前置きはさておき、今回はアレルギー性鼻炎編として漢方をおすすめする引き出しを持っておきましょう。というお話になります。よろしくお願いします。

アレルギー性鼻炎とは?

アレルギー性鼻炎ですが、これは言わずもがなで、免疫反応の延長ですよね。身体を防御するという本来の目的が行き過ぎることで身体に害を及ぼしている状態です。

より具体的には、花粉などを原因とする季節性のものと、ダニやハウスダストが原因となる通年性のものがあります。

しかし、同じ状況下でも症状が出る人、出ない人がいるのはなぜでしょうか。ここがキーポイントなのですが、漢方では身体に存在する水分量が多い人に症状が出ると考えられています

例えば日常的に冷たいものを摂り過ぎたり、過労・ストレスの蓄積により胃腸がうまく働かなくなると消化吸収が悪くなり、未代謝の水分が体内に残ってしまいます。未代謝の水分は病的な水分とされ、身体に悪影響を与えることになります。この悪影響の部分にアレルギーが入るわけですね。

アレルギー性鼻炎の漢方薬

提案処方に移りましょう。

冷えからくる鼻炎:小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

このタイプは春の花粉症シーズンに多いです。水のような鼻水、一日中くしゃみが出るなど身体の中の水分が激しく噴き出すような症状が特徴です。小青竜湯は身体を温め、水分代謝を良くし、鼻炎を改善します。症状を改善するだけでなく、改善した状態を維持する作用があることもポイントです。

鼻づまりを伴う鼻炎:葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

鼻づまりがひどいときに適します。ベースは葛根湯ですが、これに川芎と辛夷が加わることでつまった鼻を通すことができるようになります。

熱を伴う鼻炎:荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

鼻炎が慢性化し治りづらくなると、さらさらした鼻汁が粘り気のあるものに変わり、加えて目の充血、口の乾きなどの症状が現れます。これらの症状は、体内の水分が熱を帯びて炎症を起こしていることを示唆します。この場合、炎症を鎮める効果があり、通年性の慢性鼻炎にも使われる荊芥連翹湯をオススメします。

小青竜湯・葛根湯加川芎辛夷・荊芥連翹湯の使い分け・特徴

以下、まとめます。

① 冷えタイプの鼻炎

特徴:さらさらした鼻水、止まらないくしゃみ、水溶性の痰
提案処方:小青竜湯
キラーフレーズ:「水分代謝を良くして症状を改善します

② 鼻づまりが強い鼻炎

特徴:主訴が鼻づまり、鼻をかむと薄い鼻水、風呂で改善
提案処方:葛根湯加川芎辛夷
キラーフレーズ:「つまった鼻を通す目的の処方です

③ 熱タイプの鼻炎

特徴:粘り気のある鼻水、慢性化、目の充血
提案処方:荊芥連翹湯
キラーフレーズ:「慢性化した鼻炎向けの処方です

もちろん、これはほんの一例となります。ですので、この引き出しをひとまず持っておき、患者様によって若干のアレンジを効かせていただければ、満足度の向上にも繋がるものと思われます。

ぜひ、参考にしてくださいね。

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スギ

薬剤師

愛知県内の私大薬学部を卒業後、ドラッグストア、調剤薬局での勤務の傍ら、趣味の延長でバーを経営する。

「昼は薬剤師、夜はバーテンダー」という異色の経歴を獲得し、1人でも多くの方々と交流できるよう日々奮闘中。薬剤師の他に2級FP技能士の資格を有し、割と堅実な面も併せ持っている。

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