葛根湯・銀翹散・柴胡桂枝湯の使い分け・風邪タイプ別漢方薬の提案~これだけは知っとけ!~

この記事を書いた人

スギ

薬剤師

こんにちは、薬剤師バーテンダーのスギです。

店頭で「いい風邪薬を下さい」と言われると、ついつい西洋薬中心の風邪薬をおすすめしてしまいがちです。しかし、薬の専門家である薬剤師としては漢方処方をおすすめする引き出しも持っておきたいものです。

そこで今回は風邪編とし、提案処方をご紹介したいと思います。

風邪の原因

風邪の8~9割はウイルス感染により引き起こされます。

その原因となるウイルスは多岐に渡りますが、現状、ウイルスそのものに効く薬はありません。そのため、現代医学ではそれぞれの部位に応じた対症療法が行われるわけです。とまぁ、これは大丈夫ですよね。

漢方薬もこの考え方が基本になりますが、着目する点は風邪のひき方です。これには大きく2つありまして、寒気を訴えるタイプ喉が痛むタイプが挙げられます。ここでは単に低温風邪高温風邪としましょうか。

ここから提案処方に移ります。

低温風邪・高温風邪タイプ別漢方薬

 

低温風邪:葛根湯(かっこんとう)

低温風邪の特徴として、悪寒・発熱・頭痛・節々のこわばり・無汗が挙げられます。このケースでは身体を温め、発汗を促す葛根湯が望ましいです。身体を温めながら諸症状を改善します。

高温風邪:銀翹散(ぎんぎょうさん)

高温風邪の特徴として、のどの痛み・発熱・口や鼻の乾燥等、炎症性の症状が挙げられます。このケースでは、患部を冷やすことで炎症を和らげる銀翹散が望ましいです。

複合風邪(こじれた風邪):柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

風邪がこじれた場合、消化器にも影響が現れます。倦怠感・微熱が続く他、ウイルスが身体の内部まで侵入した結果、吐き気・腹痛を訴えた場合は治りづらくなります。このケースは風邪の後期と判断し、柴胡桂枝湯をおすすめするのがいいでしょう。消炎・健胃作用を併せ持つため、複合的な風邪に有効とされるからです。目安は1週間以上すっきりしない風邪を訴えるケースです。

風邪のタイプ別漢方薬の提案(まとめ)

以下、まとめます。
風邪のタイプには3つある。

① 低温風邪

特徴:寒気・節々のこわばり・筋肉痛・微熱
提案処方:葛根湯
キラーフレーズ:「冷えた身体を温めて風邪を治します

② 高温風邪

特徴:のどの痛み・口の乾き・発熱
提案処方:銀翹散
キラーフレーズ:「のどの痛みを中心とした風邪に有効です

③ 複合風邪

特徴:微熱が続いている・倦怠感・1週間以上すっきりしない
提案処方:柴胡桂枝湯
キラーフレーズ:「ダラダラ続く風邪の症状に有効です

もちろん、これはほんの一例なので、万人に有効とは言えないかもしれません。ですので、この引き出しをひとまず持っておき、相対する患者様によって先生方の方で若干のアレンジを効かせていただければ、満足度の向上に繋がるものと思われます。

ぜひ、参考にしてくださいね。

この記事を書いた人

スギ

薬剤師

愛知県内の私大薬学部を卒業後、ドラッグストア、調剤薬局での勤務の傍ら、趣味の延長でバーを経営する。

「昼は薬剤師、夜はバーテンダー」という異色の経歴を獲得し、1人でも多くの方々と交流できるよう日々奮闘中。薬剤師の他に2級FP技能士の資格を有し、割と堅実な面も併せ持っている。

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