ロサルタンカリウム(ニューロタン)作用機序・特徴・尿酸を下げる理由

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

高血圧治療薬で2型糖尿病性腎症の末期腎不全への進行を抑える働きのあるARBがロサルタンカリウム(商品名:ニューロタン)です。

ロサルタンの作用機序、特徴、服薬指導でのポイントについてまとめてみました。

作用機序・作用部位

血圧の上昇はアンデオテンシンⅡがアンデオテンシンⅡ受容体(AT1受容体)に結合することで起こります。

ロサルタンカリウムは経口吸収後、活性体のカルボン酸体に代謝され、ロサルタンカリウムとカルボン酸体がAT1受容体にアンデオテンシンⅡが結合することをブロックすることで血圧を下降させる働きがあります。

ARB

アンデオテンシン受容体にはAT1受容体とAT2受容体のサブタイプがあるのですが、ロサルタンはAT1受容体を選択的にブロックすることで、血圧を低下させたり、腎臓を保護する働きがあります。

尿酸排泄作用もあり・尿酸トランスポーター(URAT1)に作用

ロサルタン(ニューロタン)にはARBの中で唯一、尿酸を低下させる働きがあるとされています。

近位尿細管にあるURAT1(尿酸トランスポーター)にて尿酸の再吸収を抑え、尿酸を排泄すると考えられています。

そのため尿酸値が高い患者さんの場合、ARBの中でもロサルタンを使い分けて処方するDrもいらっしゃいます。

Tmax・T1/2(半減期)

ニューロタンのインタビューフォームによるとロサルタン50mgを健康成人に空腹時単回投与した時のTmaxとT1/2は下記の通りです。

  Tmax(hr) T1/2(hr)
ロサルタン 1.3±0.9 1.7±0.8
活性体 3.0±0.6 3.8±0.7

 

代謝

薬物代謝酵素のCYP2C9(メイン)、CYP3A4 により活性代謝物であるカルボン酸体に代謝されます。

グレープフルーツとの飲み合わせ

薬剤師向けの参考書で時々、ロサルタンとグレープフルーツを併用するとCYP3A4の阻害とP糖タンパク質(MDRI)の活性化により降圧作用が変動するとの記載が見られます。

ニューロタンの販売元のMSDさんの見解によると、グレープフルーツとの影響は少ないため、添付文書にも併用注意の記載はしていないとのことです。

ラジレスを併用中の糖尿病患者には禁忌

ロサルタンの併用禁忌薬ですが、アリスキレンフマル酸塩(商品名:ラジレス)を投与中の糖尿病患者となっています。

禁忌
アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし,他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)〔非致死性脳卒中,腎機能障害,高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。〕

 

飲み忘れた場合の対応

ニューロタンの薬のしおりによると、主治医からの指示がない場合、「飲み忘れに気付いた時に服用すること」となっています。

飲み忘れた場合は、気がついた時にできるだけ早く飲んでください。ただし、次に通常服用する時間が近い場合は飲まずに、次の服用時間から1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

引用元 ニューロタン薬のしおり

 

服薬指導の要点・特徴

・1日1回で24時間血圧をコントロール
・飲み忘れ時は気付いた時に服用
・BP変動によるふらつきに注意
(車の運転・高いところの作業に注意)
・尿酸排泄作用があり
・2型糖尿病性腎症の末期腎不不全への進展を遅延させ、尿蛋白を減少させる

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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