高血圧治療薬で2型糖尿病性腎症の末期腎不全への進行を抑える働きのあるARBがロサルタンカリウム(商品名:ニューロタン)です。
ロサルタンの作用機序、特徴、服薬指導でのポイントについてまとめてみました。
血圧の上昇はアンデオテンシンⅡがアンデオテンシンⅡ受容体(AT1受容体)に結合することで起こります。
ロサルタンカリウムは経口吸収後、活性体のカルボン酸体に代謝され、ロサルタンカリウムとカルボン酸体がAT1受容体にアンデオテンシンⅡが結合することをブロックすることで血圧を下降させる働きがあります。
アンデオテンシン受容体にはAT1受容体とAT2受容体のサブタイプがあるのですが、ロサルタンはAT1受容体を選択的にブロックすることで、血圧を低下させたり、腎臓を保護する働きがあります。
ロサルタン(ニューロタン)にはARBの中で唯一、尿酸を低下させる働きがあるとされています。
近位尿細管にあるURAT1(尿酸トランスポーター)にて尿酸の再吸収を抑え、尿酸を排泄すると考えられています。
そのため尿酸値が高い患者さんの場合、ARBの中でもロサルタンを使い分けて処方するDrもいらっしゃいます。
ニューロタンのインタビューフォームによるとロサルタン50mgを健康成人に空腹時単回投与した時のTmaxとT1/2は下記の通りです。
Tmax(hr) | T1/2(hr) | |
ロサルタン | 1.3±0.9 | 1.7±0.8 |
活性体 | 3.0±0.6 | 3.8±0.7 |
薬物代謝酵素のCYP2C9(メイン)、CYP3A4 により活性代謝物であるカルボン酸体に代謝されます。
薬剤師向けの参考書で時々、ロサルタンとグレープフルーツを併用するとCYP3A4の阻害とP糖タンパク質(MDRI)の活性化により降圧作用が変動するとの記載が見られます。
ニューロタンの販売元のMSDさんの見解によると、グレープフルーツとの影響は少ないため、添付文書にも併用注意の記載はしていないとのことです。
ロサルタンの併用禁忌薬ですが、アリスキレンフマル酸塩(商品名:ラジレス)を投与中の糖尿病患者となっています。
禁忌
アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし,他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)〔非致死性脳卒中,腎機能障害,高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。〕
ニューロタンの薬のしおりによると、主治医からの指示がない場合、「飲み忘れに気付いた時に服用すること」となっています。
飲み忘れた場合は、気がついた時にできるだけ早く飲んでください。ただし、次に通常服用する時間が近い場合は飲まずに、次の服用時間から1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
引用元 ニューロタン薬のしおり
・1日1回で24時間血圧をコントロール
・飲み忘れ時は気付いた時に服用
・BP変動によるふらつきに注意
(車の運転・高いところの作業に注意)
・尿酸排泄作用があり
・2型糖尿病性腎症の末期腎不不全への進展を遅延させ、尿蛋白を減少させる
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