ACE阻害薬であり、心肥大も抑える作用があるのがエナラプリルマレイン酸塩(商品名:レニベース)です。
エナラプリルの作用機序、特徴、服薬指導の要点についてまとめてみました。
エナラプリルマレイン酸塩は経口吸収後に、活性体であるエナラプリラトに加水分解されて効果を発揮します。
エナラプリラトは昇圧作用のあるアンデオテンシンⅡを生成するアンデオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する働きがあります。
アンデオテンシンⅡの生成を抑えることで、末梢血管抵抗を減少させ後負荷を軽減し、またアルドステロンの分泌を抑制し、ナトリウム・水の体内貯留を減少することで前負荷をも軽減することによって心血行動態を改善するとも考えられています。
心拍数や心収縮力に変化を与えることなく末梢血管抵抗を減少させ、心拍出量を増大さえたり、心肥大を軽減するとされています。
エナラプリルは高血圧症だけでなく軽症~中等症の慢性心不全への効能・効果も取得しています。
レニベースのインタビューフォームによると、健康成人に単回投与した時の活性体(エナラプリラト)のTmax、T1/2(半減期)は下記の通りです。
規格 | Tmax(hr) | T1/2(hr) ~24時間 |
T1/2(hr) ~48時間 |
2.5mg | 5.7±1.5 | 17.7±8.3 | 34.1±7.3 |
5mg | 3.8±1.2 | 9.5±3.1 | 14.1±4.9 |
飲み忘れに気付いた場合、主治医からの指示がない場合は「気付いた時に服用すること」となっています。
飲み忘れた場合は、気がついた時、すぐに1回分を飲んでください。ただし、次の通常飲む時間が近い場合には飲まないで、次の通常服用時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
引用元 レニベース薬のしおり
エナラプリルは食事によって吸収に大きな差はでないため、飲み忘れ時は食事に関係なく服用をするようにお伝えしましょう。
ACE阻害薬はブラジキニンの分解を抑えるため、分解されないブラジキニンによって空咳が起こることが報告されています。
空咳が続く場合は、ARBなどの空咳の起こりにくい薬剤に変更の提案を行う必要があります。
またブラジキニンは血管透過性を亢進させる作用があり、ACE阻害薬によって血管浮腫を引き起こすことがあります。呼吸困難、舌、喉頭の腫脹といった血管浮腫がある場合は、投与を中止する必要があります。
・1日1回で投与
・飲み忘れ時の対応を指導(気付いた時に服用)
・空咳の有無のチェック
・BP変動によるふらつきに注意
(自動車の運転・高いところでの作業に注意)
・血圧が高い方用の特定保健用食品でACE阻害作用があるものに注意
・主な副作用は、咳嗽(2.13%)、めまい(0.30%)、BUN上昇(0.24%)、血清クレアチニン上昇(0.21%)、血清カリウム上昇(0.16%)(使用成績調査)
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