ACE阻害薬の中で1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症にも効能・効果のある薬剤がイミダプリル塩酸塩(商品名:タナトリル)です。
イミダプリルについて作用機序、特徴、服薬指導でのチェックポイントについてまとめてみました。
イミダプリル塩酸塩は経口投与後、加水分解により活性代謝物であるジアシド体(イミダプリラート)に変換されて効果を発揮するプロドラッグです。
イミダプリラートは血圧を上昇させるアンデオテンシンⅡを生成するアンデオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することで血圧を低下させる働きがあります。
また糖尿病性腎症に対しては、腎ACE 阻害作用により、蛋白尿を減少させ、腎機能低下の進行を抑制する作用もあるとされています。
タナトリルのインタビューフォームによると健康成人に1日1回イミダプリル10mgを経口投与した時の、活性物イミダプリラートのTmaxとT1/2は下記の通りです。
Tmax(hr) | T1/2(hr) | |
初回 | 9.3 | 14.8 |
7日投与後 | 7.0 | 7.6 |
イミダプリルを飲み忘れた場合、薬のしおりによると「気づいた時に服用すること」となっています。
飲み忘れた場合は、気がついた時にできるだけ早く飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分は飲まないで1回分を飛ばしてください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
引用元 タナトリル薬のしおり
イミダプリルは食事によって吸収に影響を受けないため、飲み忘れ時は食事に関係なく服用して問題ありません。
イミダプリルの併用禁忌薬ですが、アリスキレンフマル酸塩(商品名:ラジレス)を投与中の糖尿病患者となっています。
禁忌
アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし,他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)〔非致死性脳卒中,腎機能障害,高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。〕
ACE阻害薬はブラジキニンの分解を抑える作用もあり、ブラジキニンが分解されないことで空咳が引き起こされます。
ブラジキニンによって血管透過性が亢進し、血管性浮腫が発生することがあります。
投与中止により1~3日で改善されるのが一般的ですが、息苦しい、呼吸困難の体調変化があればすぐに受診が必要になります。
・1日1回投与
・飲み忘れた場合の対処方法を指導
(気付いた場合に服用・次回まで間隔短い場合はとばす)
・BP変動によるふらつきに注意
(車の運転、高いところでの作業)
・高K血症に注意(特に糖尿病性腎症への投与初期)
・血圧が高い方用の特定保健用食品でACE阻害作用があるものの併用に注意
・主な副作用は,咳嗽(4.76%),低血圧(0.26%),めまい(0.23%),頭痛(0.19%),咽頭部異和感・不快感(0.14%),ふらつき(0.14%),発疹(0.12%)等(使用成績調査)
・空咳の有無の確認(空咳がひどい場合はARBなどへ処方変更提案)
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