ベンゾチアゼピン系Ca拮抗薬で1日1回投与の徐放製剤がジルチアゼム塩酸塩徐放カプセルです。
先発品ではヘルベッサーRカプセル、ジェネリック医薬品ではジルチアゼム塩酸塩Rカプセル「サワイ」や、ジルチアゼム塩酸塩徐放カプセル「日医工」が販売されています。
「R」の由来ですが「Retard=遅らせる」の頭文字をとって持続性製剤を意味しているそうです。
ジルチアゼムの作用機序、服薬指導の要点についてまとめてみました。
冠血管及び末梢血管等を収縮させるCa2 +の血管平滑筋細胞への流入を抑制することにより,血管を拡張し、心筋虚血改善作用と降圧作用を示します。
心拍数を減少させ心筋虚血時、高血圧時の心臓の負担を減らす特徴があります。
ヘルベッサーRカプセルのインタビューフォームによると、健康成人男性に単回投与した時のTmaxとT1/2(半減期)は下記の通りとなっています。
用量 | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
100mg | 13.6±0.7 | 7.3±0.6 |
ヘルベッサーRカプセルについて販売元の田辺三菱製薬の見解では、カプセル自体に徐放性がないため、脱カプセルしても問題ないとのことです。
その際に脱カプセルした中身を潰したり、砕いたりすると徐放性が失われてしまいますので、他の粉砕の際に一緒にミキサーにいれて混ぜるのは避けた方がよいでしょう。
主として代謝酵素チトクロームP4503A4(CYP3A4)で代謝。
グレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が、小腸上皮細胞のCYP3A4を不可逆的に阻害するためCa拮抗薬の血液中への吸収が上昇することが報告されています。
本来ならCa拮抗薬が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。
グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのCa拮抗薬の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。
ジルチアゼムはCYP3A4で代謝されるため、グレープフルーツと併用することでAUCが103-110%、Cmaxが102-107%上昇するデータが報告されています。(大日本住友製薬より)
しかしCa拮抗薬の中ではジルチアゼムはグレープフルーツの影響を受けにくい薬剤となっており、添付文書でも併用注意とはなっていません。
ジルチアゼム塩酸塩徐放カプセルの飲み忘れた場合は「気づいた時に服用すること」となっています。
食事の影響を受ける薬剤ではないため、空腹時でも問題ないことをお伝えしましょう。
次回服用分と近い場合はとばして、次回から正しい量で服用するように指導しましょう。
・1日1回投与(食事・タイミングの縛りなし)
・グレープフルーツの摂取は問題なし
・BP変動によるふらつきに注意
(自動車の運転・高い所での作業には注意)
・副作用は循環器 0.7%(徐脈 0.2%,房室ブロック 0.1%,顔面潮紅 0.1%等)消化器 0.6%便秘 0.2% 嘔気 0.2%胃部不快感 0.1%頭痛・頭重感 0.4%及び過敏症 0.3%等。(再審査終了時)
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