ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬で、高血圧症だけではなく、腎実質性・腎血管性高血圧症にも効能・効果があるのがバルニジピン塩酸塩(商品名:ヒポカ)です。
バルニジピンの作用機序、特徴、服薬指導のポイントをまとめてみました。
バルニジピン塩酸塩(ヒポカ)は血管や心筋を収縮させるCa2+の血管細胞内への流入を抑えることで血管を拡張させます。
具体的な作用部位ですが、血管平滑筋細胞膜に存在するジヒドロピリジン結合部位に結合し、電位依存性L型Caチャネルから Ca2+が流入するのを抑えることで末梢血管を弛緩させ、 脳、心臓、腎臓への血流を増加・保持する作用があります。
血圧降下、血管拡張作用だけでなく腎機能に対する作用もあるのが特徴です。
生理食塩水負荷高血圧自然発症ラットにおいて、尿量及び尿中電解質排泄量を増加させるとともに尿中ナトリウム/カリウム比を上昇させた。
麻酔イヌでの腎動脈内投与実験において、低用量では主に尿細管でのナトリウム再吸収の抑制、また、高用量では腎血流量及び糸球体濾過量の増加を示した。
腎機能障害を伴う患者において、尿量及び尿中ナトリウム排泄量を有意に増加させた。
引用元 ヒポカインタビューフォーム
ヒポカのインタビューフォームによると、本態性高血圧患者に単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りとなっています。
規格 | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
5mg | 2.0 | 6.0 |
10mg | 1.0 | 6.0 |
15mg | 1.0 | 6.0 |
主としてCYP3A4で代謝されます。
バルニジピン塩酸塩(ヒポカ)と併用禁忌薬はありません。
グレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が、小腸上皮細胞のCYP3A4を不可逆的に阻害するためCa拮抗薬の血液中への吸収が上昇することが報告されています。
本来ならCa拮抗薬が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。
グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのCa拮抗薬の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。
グレープフルーツとバルニジピンを併用すると、バルニジピンの血中濃度が上昇する可能性があるため併用注意となっています。
併用した場合のAUCやCmaxの上昇率のデータはありませんが、念のためグレープフルーツは控えるように指導しましょう。
レモンやオレンジは問題ありませんが、ナツミカンやザボンにはCYP3A4阻害作用が報告されているため、極力避けた方がよいでしょう。
バルニジピン塩酸塩(ヒポカ)を飲み忘れた場合の対応ですが、
「午前中に気がついた時は、すぐ服用すること」
「午後気がついた時は1回とばして、翌朝からまた正しい量を服用すること」
となっています。(主治医からの指示がない場合)
絶対に2回分を一度に服用しないように注意しましょう。
・1日1回朝食後に服用
・飲み忘れた場合の対応を指導
(午前中なら気づいた時に服用、午後なら翌日から正しい量を服用)
・グレープフルーツは避ける
・BP変動によるふらつきに注意
(車の運転・高い所の作業に注意)
・主な副作用は、顔面潮紅0.6%動悸0.6%ほてり0.6%頭痛0.6%めまい0.3%等
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