1日1回投与で効果を発揮するジヒドロピリジン系Ca拮抗薬がアゼルニジピン(商品名:カルブロックなど)です。
アゼルニジピンの作用機序、服薬指導の注意点についてまとめてみました。
アゼルニジピン(カルブロック)は、血管や心筋を収縮させるCa2+の血管細胞内への流入を抑えることで血管を拡張させます。
具体的な作用部位ですが、血管平滑筋細胞膜に存在するジヒドロピリジン結合部位に結合し、電位依存性L型Caチャネルから Ca2+が流入するのを抑え、血管平滑筋を弛緩、拡張させることにより血圧を低下させると考えられています。
またアゼルニジピン(カルブロック)にはL型Caチャネルだけでなく、T型Caチャネルを遮断する作用もあります。
腎臓の糸球体の入り口にある輸入細動脈にはL型、T型、N型のCaチャネルが、輸出細動脈にはN型、T型のCaチャネルが存在します。
L型Caチャネルのみを遮断する場合は、糸球体の輸入細動脈のみを拡張させ輸出細動脈は変化させないことから糸球体内圧が上昇してしまいます。
一方でT型Caチャネルを遮断する場合は糸球体の輸入細動脈と輸出細動脈のどちらも拡張させることから糸球体内圧を下げ、腎臓保護作用が期待できるのです。
L型Caチャネルを遮断すると強力な降圧作用によって反射性頻脈が起こることがあります。
T型Caチャネルは心臓にも存在し、T型Caチャネルを遮断することで心拍数を減少させる働きがあります。
そのためアゼルニジピン(カルブロック)は頻脈傾向にある方や、他のCa拮抗薬で反射性頻脈が問題となる方に処方されるケースがあります。
カルブロックのインタビューフォームによると健康成人男子に空腹時単回投与した時のTmaxとT1/2は下記の通りとなります。
用量 | Tmax(hr) | T1/2α(hr) | T1/2β(hr) |
5mg | 2.3±0.4 | 1.4±0.3 | 16.3±3.6 |
10mg | 2.7±0.2 | 1.4±0.1 | 20.9±6.4 |
アゼルニジピン(カルブロック)を飲み忘れた場合は、主治医からの指示がない場合は「気づいた時点で1回分服用すること」となっています。
飲み忘れた場合は、気がついた時点で1回分を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は、忘れた分を飲まないで、次の飲む時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
引用元 カルブロック錠 薬のしおり
主としてチトクローム P4503A4(CYP3A4)で代謝。
下記の薬剤がCYP3A4を阻害するため併用禁忌となっています。
・アゾール系抗真菌剤
イトラコナゾール(商品名:イトリゾール)
ミコナゾール(商品名:フロリード)
・HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル(商品名:ノービア)
サキナビル(商品名:インビラーゼ)
インジナビル(商品名:クリキシバン)
・コビシスタットを含有する製剤
(商品名:スタリビルド配合錠、ゲンボイヤ配合錠)
グレープフルーツとアゼルニジピン(カルブロック)は併用注意となっており、「アゼルニジピン(カルブロック)服用中は摂取しないこと」となっています。
グレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が、小腸上皮細胞のCYP3A4を不可逆的に阻害するためCa拮抗薬の血液中への吸収が上昇することが報告されています。
本来ならCa拮抗薬が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。
グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのCa拮抗薬の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。
大日本住友製薬の資料によると、アゼルニジピン(カルブロック)服用中にグレープフルーツを摂取するとAUCが332%、Cmaxが254%上昇するとなっており、Ca拮抗薬の中でもグレープフルーツとの相互作用が強い薬剤です。
そのため、間隔をあけてもアゼルニジピン(カルブロック)服用中のグレープフルーツは避けることとなっています。
レモンやみかんにはCYP3A4を阻害する作用はないため、摂取して問題ありません。
ザボンや夏みかん、ボンタンはCYP3A4を阻害する作用があるため避けた方がよいかと思います。
・T型Caチャネルを遮断するため反射性頻脈が起こりにくい
・1日1回朝食後に投与(MAX16mg)
・併用禁忌薬に注意(抗真菌薬・HIVプロテアーゼ阻害薬)
・グレープフルーツ(グレープフルーツジュース)の摂取は1日中避ける。
・BP変動によるふらつきに注意
(車の運転・高い所の作業)
・飲み忘れ時の対応を指導
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