ベニジピン塩酸塩(コニール)の作用機序・特徴・服薬指導の要点

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬で高血圧と狭心症に処方されるのがベニジピン塩酸塩(商品名:コニールなど)です。

ベニジピンは作用部位である血管平滑筋の細胞膜への親和性が高く、血中濃度に相関することなく長時間作用が持続する特徴があります。

ベニジピンについて、作用機序、服薬指導のポイントについてまとめてみました。

作用機序

ベニジピン塩酸塩(コニール)は血管や心筋を収縮させるカルシウムの血管細胞内への流入を阻害することで、血管を拡張させる働きがあります。

具体的な作用点ですが、細胞膜の膜電位依存性CaチャネルのDHP結合部位に結合することによって細胞内へのCa流入を抑制し、冠血管や末梢血管を拡張させます。

ベニジピンは細胞膜への移行性が高く、DHP結合部位への親和性が強いとされており、血中濃度と相関せず、血管拡張作用の持続が認められています。

Tmax・T1/2(半減期)

コニールのインタビューフォームによると、健康成人男性に空腹時単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りとなります。

規格 Tmax(hr) T1/2(hr)
4mg 0.8±0.3 1.70±0.70
8mg 0.8±0.3 0.97±0.34

 

飲み忘れた場合の対応

コニールの薬のしおりによると、「飲み忘れに気づいた場合はすぐに服用すること」となっています。高血圧治療の場合は8時間ほど、狭心症の場合は5時間ほど次回の服用と間隔をあけるようになっています。

飲み忘れた場合は、気が付いたら1回分をすぐに飲んでください。しかし、次の服用時間まで、高血圧症の場合は8時間程度、狭心症の場合は5時間程度あけるようにしてください。

引用元 コニール 薬のしおり

 

代謝

主としてCYP3A4で代謝される。

併用禁忌

ベニジピン塩酸塩(コニール)と併用禁忌の薬剤はありません。

グレープフルーツとベニジピン(コニール)の飲み合わせ・併用

グレープフルーツとベニジピン(コニール)が併用注意の理由

グレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が、小腸上皮細胞のCYP3A4を不可逆的に阻害するためCa拮抗薬の血液中への吸収が上昇することが報告されています。

本来ならCa拮抗薬が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。

グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのCa拮抗薬の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。

ベニジピン塩酸塩(コニール)を服用中にグレープフルーツ(orジュース)を摂取するとベニジピンの血中濃度が上昇するため併用注意となっています。

大日本住友製薬の資料によると、グレープフルーツと併用することでベニジピンのAUCの上昇率が159%、Cmaxの上昇率が173%となっています。

レモン・オレンジは併用OK/ザボン・ボンタン・夏みかんは併用NG

レモンやみかんはCYP3A4を阻害するフラノクマリン類が含まれていませんので、ベニジピンと飲み合わせは問題ないとされています。

ザボンやボンタン、ナツミカンにはCYP3A4を阻害するフラノクマリン類が含まれるため、併用は注意するようになっています。

服薬指導・薬歴記載の要点

・高血圧では1日1回。狭心症では1日2回処方。
・グレープフルーツは避ける
・飲み忘れた時は気づいた時に服用
(高血圧は次回服用まで8時間、狭心症は5時間あける)
・BP変動によるふらつきに注意
(車の運転・高いところの作業には注意)
・主な副作用は動悸0.5%、顔面紅潮0.5%、頭痛0.4%等(再審査終了時)

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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