24時間持続ニフェジピンCR(アダラートCR)の作用機序・服薬指導・薬歴記載の要点

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

1日1回で24時間持続するCa拮抗薬がニフェジピン徐放錠(24時間持続)です。

先発品ではアダラートCR、ジェネリック医薬品はニフェジピンCR+メーカー名として販売されています。

24時間持続のニフェジピン徐放錠について作用機序、服薬指導での要点についてまとめてみました。

作用機序

ニフェジピンは血管や心筋を収縮させるカルシウムが血管細胞内に流入するのを抑えることで、血管を拡張させる働きがあります。

具体的には、膜電位依存性L型Ca++チャンネルを介して血管平滑筋や心筋細胞内に細胞外Ca++が流入することを防ぎ、全身細動脈、冠動脈を拡張し、血管抵抗を減少させ、血流量を増加します。

Tmax・T1/2(半減期)

アダラートCR錠のインタビューフォームによると、高齢者本態性高血圧患者に1日1回アダラートCR錠20mgを6日間反復投与した時のTmax、T1/2は下記の通りです。

規格 Tmax(hr) T1/2(hr)
CR20mg 3.3 ±0.4 11.7 ±2.0

 

ニフェジピンCR(24時間持続)とニフェジピンL(12時間持続)の違いに注意

一般名処方の際に、ニフェジピン徐放錠(24時間持続)、もしくはニフェジピン徐放錠(12時間持続)で処方されることがあります。

24時間持続の場合は「CR錠」、12時間持続の場合は「L錠」となります。

入力の際やピッキングの際には特に注意が必要です。

食事の影響・飲み忘れた場合の対応

アダラートCR錠のインタビューフォームによると、食事に影響を受けないとされています。

健康成人男子12例に本剤40mgを空腹時及び食後30分に単回経口投与したところ,Cmax, AUC0-∞,MRT(平均滞留時間)等いずれのパラメータにも有意な差は認められず摂食による影響はほとんど認められなかった

引用元 アダラートCR インタビューフォーム

朝食後に処方される場合、

「朝ごはん食べないけど服用して大丈夫?」

と質問を受けることがあるかと思います。

ニフェジピン(アダラート)は食事に影響を受けない薬剤のため、食事を摂れなくても規則正しく服用することを指導しましょう。

また飲み忘れがあった場合は、薬のしおりでは「気付いた時に服用すること」となっています。

飲み忘れた場合は気がついた時点で1回分を飲んでください。ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに、次の服用時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。

引用元 アダラートCR 薬のしおり

「次の服用時間が近い場合」の目安ですが、当日中であれば問題ないと指導されるケースが多いです。

基本は主治医からの指示に従うようにお伝えしましょう。

代謝

主にチトクロームP4503A4(CYP3A4)により代謝される。

併用禁忌薬

ニフェジピンCR(アダラートCR)と併用禁忌薬はありません。

グレープフルーツとの飲み合わせ・相互作用

グレープルーツに含まれるフラノクマリン類がCYP3A4を阻害

グレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が、小腸上皮細胞のCYP3A4を不可逆的に阻害するためCa拮抗薬の血液中への吸収が上昇することが報告されています。

本来ならCa拮抗薬が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。

グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのCa拮抗薬の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。

ニフェジピンを服用中にグレープフルーツを摂取すると、ニフェジピンの血中濃度が上昇するため添付文書上では「併用注意」「同時摂取は避けること」となっています。

AUC・Cmaxの影響

大日本住友製薬の資料によると、グレープフルーツとニフェジピンを併用した時のAUCの上昇率は108-203%、Cmaxの上昇率は104-194%となっています。

幅が広いですが、グレープフルーツと併用することで最大血中濃度が2倍近くになることがありますので注意が必要です。

オレンジ・レモンとニフェジピン(アダラート)との併用・飲み合わせ

オレンジやレモンにはCYp3A4を阻害するフラノクマリン類は含まれていませんので、ニフェジピン(アダラート)と併用しても問題ありません。

ニフェジピンCR(アダラートCR)服薬指導・薬歴記載のポイント

  • 1日1回で24時間持続
    高血圧症で効果不十分の場合、80mg分2まで増量可能
  • 飲み忘れた場合は気付いた時に服用
    2回分を同時に摂取しないこと
  • 血圧変動によるふらつきに注意
    車の運転・高いところの作業に注意
  • 歯肉肥大の有無を確認 
    歯と歯茎の間をブラッシングで予防する

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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