ドチヌラド(ユリス)作用機序・服薬指導のポイント【尿酸排泄促進薬】

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

痛風や高尿酸血症の治療薬には尿酸排泄促進薬尿酸生成抑制薬の大きく2つに分類されます。

尿酸排泄促進薬として、2020年に日本で製造販売承認されたのがユリス錠(一般名:ドチヌラド)です。

ユリス錠(ドチヌラド)の作用機序や、服薬指導でのポイントについてまとめました。

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作用機序

体の中で作られた尿酸は、腎臓でろ過された後、近位尿細管尿酸トランスポーター(URAT1)によって再吸収されてしまい、足の指や、ひざ、ひじ、手指の関節に尿酸が結晶としてたまることで痛風発作が起こります。

ドチヌラドは近位尿細管の尿酸トランスポーター(URAT1)を阻害することで、尿酸の再吸収を抑え、尿酸を排泄させ血中尿酸値を低下させる働きがあります。

尿酸分泌経路にはABCG2(小腸上皮細胞→糞中 近位尿細管細胞→尿中)、OAT1,3(血中→近位尿細管細胞)がありますが、ドチヌラドはこれらの経路を阻害することなくURAT1を選択的に阻害する選択的尿酸再吸収阻害薬SURI:Selective Urate Reabsorption Inhibitor)とよばれます。

調剤・服薬指導のポイント

  • 痛風発作時に血中尿酸値が変動すると痛風発作を増悪させる可能性があるため、投与スタートする場合は痛風発作がおさまってからにする。
  • 通常は0.5mgスタート、維持量は2mg、最大投与量は4mg
  • アスピリンなどのサリチル酸製剤は尿酸排泄抑制作用があるため併用注意。
  • 尿が酸性の場合、尿酸結石を起こしやすいので、水分を多めにとって尿量の増加やアルカリ化をはかる必要があり。
  • 肝機能障害患者について、AST ALT100IU/L以上が臨床試験では除外されている。
  • 重度の腎機能の低下患者は投与を避ける(eGFR30ml/min/1.73m2未満は臨床試験を除外)。

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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