アロプリノール(ザイロリック)作用機序・特徴・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

痛風、高尿酸血症治療薬で尿酸の合成を抑えるキサンチンオキシダーゼ阻害薬アロプリノールがあります。

先発品ではザイロリック、ジェネリック医薬品ではアロプリノール+メーカー名で販売されています。

アロプリノールの作用機序や特徴、服薬指導のポイントについてまとめてみました。

アロプリノール(ザイロリック)の作用機序

ビールや肉などに含まれるプリン体(プリン塩基)は代謝の過程でピポキサンチンとなり、キサンチンオキダーゼ(XOD)によって、キサンチン尿酸へと分解されていきます。

アロプリノール作用機序

アロプリノールはキサンチンオキシダーゼの競合的阻害薬として開発されました。

上の図にキサンチンとアロプリノールの構造式を表しているのですが、キサンチンとアロプリノールの構造がなんとなく似ていますよね??

アロプリノールを投与すると、キサンチンオキダーゼはアロプリノールにも反応し、オキシプリノールに代謝します。

すなわち、アロプリノールを投与することによって本来キサンチンやピポキサンチンに作用するキサンチンオキシダーゼがアロプリノールの反応に使われるため、尿酸の合成を抑えることができるのです。

このような阻害の仕方を競合的阻害といいます。

またアロプリノールの活性代謝物のオキシプリノールにもキサンチンオキシダーゼ阻害作用があるとされています。

Tmax・T1/2(半減期)

ザイロリックのインタビューフォームによると、健康成人にアロプリノール200mgを単回投与した時のTmax、T1/2は下記の通りです。

  Tmax(hr) T1/2(hr)
アロプリノール 2.1  1.6 
オキシプリノール
(代謝物)
4.6  17.1 

 

代謝・排泄

アロプリノールはキサンチンオキシダーゼによって代謝され主に腎臓から排泄されます。(糸球体濾過)

併用禁忌薬

アロプリノール(ザイロリック)と併用禁忌薬はありません

妊娠・授乳中の服用

妊婦さんへの投与についてザイロリックのインタビューフォームでは下記のようになっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験(マウス)の妊娠10日目又は13日目に50及び100mg/kgを腹腔内投与したところ、胎児に催奇形作用が認められたと報告されている ]

引用元 ザイロリックインタビューフォーム

また授乳については「授乳を避けること」となっています。

授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ本剤及びその代謝物が移行することが報告されている。]

引用元 ザイロリックインタビューフォーム

 

特徴・服薬指導の要点

 

服用開始後に痛みが強くなることがあり

服用初期は尿酸値が変動することから、痛風発作が一時的に増強されることがあります。しばらくアロプリノールを休薬し発作があって受診された場合、コルヒチンやNSAIDsが処方され、発作が治まったらアロプリノールを飲むように指示されるケースがあるのも尿酸の変動を避けるためです。

痛風発作時に倍で服用しない

「発作がでたからアロプリノールを倍の2錠飲んだ」

と患者さんから言われたケースがありましたが、発作がある時は尿酸値の変動(低下も含む)が発作を悪化させる原因となりますので、決められた量を服用するように指導する必要があります。

水分制限がなければ水を多めにとる(1日尿量2L)

尿酸結石を防止するために、尿量を増加させアルカリ化する必要があります。そのため十分な水分を摂るように指導。(水分制限がない方のみ)

飲み忘れた場合の対応を指導

ザイロリックの薬のしおりによると、飲み忘れた場合は「気づいた時に服用すること」となっています。代謝物の半減期が長いことからも次の服用と間隔が短い場合はとばして次回分から正しく服用することとなっています。

飲み忘れた場合は、気が付いた時できるだけ早く1回分を飲んでください。ただし、次の通常飲む時間が近い場合は1回飛ばして、次の通常の服用時間に1回分を飲んでください。絶対に、2回分を一度に飲んではいけません。

引用元 ザイロリック薬のしおり

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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