劇症1型糖尿病の症例・インスリンの使用例

この記事を書いた人

血糖値が高くても低血糖症状に

通常血糖値が70mg/dL未満の場合は低血糖と医師に診断されますが、
劇症1型糖尿病の患者の場合、血糖が急激に下がると、下がった後の血糖が比較的高い状態でも、低血糖状態になります。
(例:食後に掃除をして、血糖値350から100mg/dLへ急に下がる)

つまり、血糖値が通常の範囲内だったり、高かったりしても、下がり幅が大きいと、ふらつき、心拍増加、ふるえ、発汗などの低血糖症状が現れることがあります。

血糖値が500mg/dLぐらいあった時は、急激に血糖値を下げるのは危険で、飴玉をなめつつ、緩やかにインスリンで血糖値を下げないと低血糖症状が現れることがあるそうです。

劇症1型糖尿病は血糖コントロールが難しい

特に劇症1型糖尿病を発症したばかりのころは日常の動作や家事、外出時などで、急激に血糖値が下がることもあり、血糖値を一定に保つコントロールが難しいようです。

しかし、徐々に、こういう動きをした時は血糖が下がりやすいなど、自身で分かってくるそうです。

低血糖を繰り返した場合は、高齢になってからの認知機能の低下が顕著という報告があり4)、 血糖コントロールは慎重になる必要があります。

そのため保険適用の血糖値管理を補助する製品装置で、すぐに血糖値が測れるようにしていることがあります。 

保険適用の血糖値管理装置 フリースタイルリブレ

血糖値管理を補助する装置、フリースタイルリブレについて紹介します。


 

これは、上腕部に、針のついたセンサー(写真の白色の部分)を、シールのような粘着剤で常に貼った状態にしておき、ワイヤレスのリーダー(黒色の小型の携帯電話のようなもの)をセンサーに近づけて、グルコース値を読取る装置です。

これによって、針が上腕部に刺さったままの状態になり、グルコース値を連続的に測定・記録できます。

センサーと針を腕につけたあとは、93.4%の人が皮下の不快感を訴えていないそうです。

血糖を測定する際には、痛みはなく、いつでも、どこでも、服の上からでも、1秒で測定できます3)

耐水性なので、そのままお風呂に入ることもできます。
センサーの針は2週間毎に取り替えますが、その時は、針を刺す痛みはあるそうです。
過去8時間の血糖値の履歴が表示され、リーダーにグラフになって記録されるので、血糖値の上がり下がりを視覚的に患者がとらえられ、血糖コントロールを円滑にすることができます。

ただし、測定値にばらつきや誤差があるため、症状が値と一致していない時などは、穿刺の血糖測定器と併用する必要があります。

それでも、血糖を知りたい時に瞬時に測定でき、その際の指先に穿刺する回数が減るので、肉体的負担や痛みによる精神的負担は減ると思われます。

>【次ページ】劇症1型糖尿病でのインスリン使用例

この記事を書いた人

平野菜摘子(ひらのなつこ)

薬剤師

昭和大学・薬学部
2歳児、0歳児の母。
埼玉で生まれ、フィリピン、吉祥寺で育つ。
ドラッグストア、調剤薬局で管理薬剤師、派遣薬剤師、パート薬剤師など約10年のフルタイム就労経験あり。
専業主婦も経験。海外文化に興味があり、2011年カナダに1年在住。TOEIC890点取得経験あり。

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「平野菜摘子」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る