こんにちはメディカルライターの平野菜摘子です。
インスリン製剤の処方箋を持った患者さんが薬局に来られたら、
1型糖尿病の人か、2型糖尿病が進行しインスリン製剤で血糖コントロールをすることになった患者さんを思い浮かべると思います。
特に1型だった場合、長年インスリン製剤を使っており、患者さんも使い方をよく理解していると思いがちではないでしょうか。
1型糖尿病は、小さい子供のうちからインスリンが欠乏している疾患だと、筆者も思っておりました。
しかし、1型糖尿病は、それまで健康だった50代から70代の大人の方も発症するのです。
そのうちの一つ、劇症1型糖尿病になった方が身近にいたので、調べたことを述べます。
1型糖尿病は、発症様式別に、急性発症、緩徐進行、劇症に分類されます4)。
日本において劇症1型糖尿病は、年間おおよそ300人前後の発症数、有病者数2万人程度ではないかと推定されています1)。
劇症は急性と違い、1週間前後という急激な速さでインスリン依存(生きるためにインスリン補充が欠かせない状態)に至るタイプです。
劇症1型糖尿病の原因の詳細は不明ですが、自己免疫疾患やウイルス感染などと考えられています。
初期症状としては、急激な口渇、多飲、多尿、倦怠感、脱水、意識障害、体重減少、腹痛、悪心が現れます。
ニボルマブ(商品名:オプジーボ)などの免疫チェックポイント阻害薬による免疫反応活性化によっても劇症も含む1型糖尿病の発症が報告されていますので、上記のような初期症状がでないかチェックしなければいけません。
私が聞き取った例では、70代女性の方は、ある日突然、家で意識障害が出て、救急搬送されました。
直ちにICUに入院し、劇症1型糖尿病と診断されました。
70%の患者は、発症以前に、上気道症状、消化器症状を認めるそうですが4)、この方は、倒れる以前に特に変わった症状は出ていなかったそうです。
救急搬送された先では、血糖値が高く、インスリンの分泌はゼロに近かったそうです。
つまり、膵島β細胞の急激な破壊が起こっていたようです。
直ちにインスリン療法を必要とします。
この時の治療が遅ければ致死的です。
治療を厳密に行わないと心臓、腎臓、眼、神経等の合併症が併発しますので、患者本人の苦痛はもとより、患者家族にとっての精神的、経済的負担は多大なものとなっています5)。
劇症1型糖尿病の患者数は多くはないので、専門医以外の医師は劇症1型糖尿病を知らないこともあり、劇症肝炎ではないの?と聞き返されたこともあるそうです。
劇症1型糖尿病の場合は血糖値の上昇に比べて、HbA1cが低いのが特徴です。
これはHbA1cが過去1〜2ヶ月の血糖値を反映するからです。
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