薬局で患者さんより聞かれる「糖質制限について」お話しようと思います。
糖尿病(DM)の患者さんの中には糖質制限してれば検査値がよくなると思い込んでいる方がいます。
糖質制限はあくまでDMの治療の1つのツールであってそれだけに頼ってはいけないことをいつもお話しています。
説明する側のしっかりとした知識がポイントだと思います。
主な栄養素には大別して、炭水化物・タンパク質・脂質に分類できます。
血糖への影響度は、炭水化物>>タンパク質≒脂質 と言われています。
以前は蛋白質も血糖に影響を及ぼすと言われていたようですが最近は蛋白質の影響度合いは低く、炭水化物が主に影響を及ぼしていることが分かったようです。ただし、1型DMの方は当てはまりません。
どのくらいの糖質摂取量でどのくらい血糖値が上昇するのでしょうか?
2型DMの患者が1gの糖質を摂取した時、血糖値をおよそ3mg/dl上昇させ、1型DMの患者は、およそ5mg/dl上昇させるとの報告があります。
例えば、2型DMの患者が 糖質50g含有の食事を摂ると食後にはおよそ150mg/dlの血糖値の上昇となります。
食事前の血糖値が100mg1/dlなら食後2時間後に約250mg/dlまで上昇する計算となります。
これはあくまで計算上で実際には内因性のインスリンによって血糖上昇は抑えられます。
これを理解しているとスターシスやシュアポストなどの食直前投与の薬の必要性を患者に理解していただくことは容易だと思います。
実際に投薬時にこの話をすると大半の方が食前の薬の重要性について理解されコンプライアンス上昇に寄与しています。
DMの患者に「脂質・蛋白質を減らしてカロリー制限をしなさい」という指導には皆さんどう思いますか?
以前にテレビ番組で下記の中でどの食事が一番体重が減るかという企画ものがありました。
結果は炭水化物を制限した唐揚げの人が一番体重が減りました。
この企画ものをみて今まで考えは少し変化させないといけないのかなと思いました。
あくまでテレビの企画ものなのですべてを鵜呑みにするのは注意ですが・・。
みなさんもご存じの通りインスリンに対して拮抗するホルモン「グルカゴン」が体内には存在します。
グルカゴンはグリコーゲンの分解を促して血糖を上昇させアミノ酸等からの糖新生を促進するホルモンです。
このグルカゴンは、インスリンによって下がりすぎた血糖をグリコ-ゲン分解促進等によって上昇させ正常な血糖値を維持できるように調節しています。
ただ、このホルモンは内因性のインスリン分泌不全の患者(主に1型DMの患者)には蛋白質摂取でも糖新生で血糖が上昇することはあまり知られていないので意外と重要となります。
以前、糖分を控えているのに血糖が上がりインスリン注射の1回単位量も上がってしまい落ち込んでいる1型DMの患者さんがいました。
話を聞くと糖質を控えていた分、蛋白質(動物性・植物性)をいつもより多めに摂取していたことがわかりました。
その時に、グルカゴンの話をして蛋白質も摂りすぎは良くないことを説明しバランスが大事なので糖質はもう少し増やして蛋白質は食べ過ぎないという指導をした結果、血糖改善ができたケースがありました。
グルカゴンも大事な血糖調整には大事なファクターだと思いました。
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