SGLT2阻害薬の一覧・代謝・tmax・半減期の比較

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

糖を尿中から排泄させる糖尿病治療薬「SGLT2阻害薬」。

作用機序は近尿細管に存在するSGLT2(ナトリウムグルコース共輸送体2)を選択的に阻害することで、腎臓でのグルコースの再吸収を抑え、尿からグルコースを排出させます。

尿中の糖濃度が高くなることから「尿路感染」が問題となったり、高齢者や利尿薬を併用される場合に「脱水症状」が問題となる薬剤です。
副作用は「頻尿」が最も多く報告されており、薬局では「こまめな水分の摂取」を呼びかける必要があります。

SGLT2阻害薬はハイリスク薬に位置づけられており、特定薬剤管理指導加算(特管)の対象となります。

DPP4阻害薬やSU剤、αGI、ビグアナイド(BG)薬、インスリン製剤など他の糖尿病治療薬や、β遮断薬、ステロイド、甲状腺ホルモン剤などとの併用時には特に血糖コントロールに注意する必要があります。

SGLT2阻害薬について、用法・用量、代謝経路などの特徴をまとめました。

スーグラ錠25mg・50mg特徴・Tmax・半減期

成分名

イプラグリフロジンL-プロリン

用法・用量

通常、成人にはイプラグリフロジンとして50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら100mg1日1回まで増量することができる。

代謝

UGT2B7によるグルクロン酸抱合代謝

tmax、t1/2(半減期)

tmax  1.43±1.86
t1/2 14.97±4.58
2型糖尿病患者に50mg食前単回投与時
単位:hr

販売メーカー

アステラス製薬

フォシーガ錠5mg・10mg特徴・Tmax・半減期

成分名

ダパグリフロジンプロピレングリコール

用法・用量

通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができる。

代謝

UGT1A9

tmax、t1/2(半減期)

tmax 1.25
t1/2 12.1
健康成人男性に10mg空腹時単回投与時
単位:hr

販売メーカー

ブリストル・アストラゼネカ・小野

ルセフィ錠2.5mg・5mg特徴・Tmax・半減期

成分名

ルセオグリフロジン水和物

用法・用量

通常、成人にはルセオグリフロジンとして2.5mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら5mg1日1回に増量することができる。

代謝

CYP3A4・5、4A11、4F2、4F3B、UGT1A1、UGT1A8,UGT1A9

tmax、t1/2(半減期)

tmax 1.11±0.546
t1/2 11.2±1.05 
健康成人男性2.5mg空腹時単回投与時
単位:hr

メーカー

大正製薬・ノバルティス・大正富山

デベルザ錠・アプルウェイ錠20mg特徴・Tmax・半減期

成分名

トホグリフロジン水和物

用法・用量

通常、成人にはトホグリフロジンとして20mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。

代謝

CYP2C18、4A11、4F3B

tmax、t1/2(半減期)

tmax  1.00±0.000
t1/2 5.29±0.508
健康成人男性20mg単回投与時
単位:hr

メーカー

興和(デベルザ)、サノフィ(アプルウェイ)

カナグル錠100mg特徴・Tmax・半減期

成分名

カナグリフロジン水和物

用法・用量

通常,成人にはカナグリフロジンとして100mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。

代謝

UGT1A9・2B4

tmax、t1/2(半減期)

tmax  1.0
t1/2 10.2
2型糖尿病患者に100mg単回投与時(食前)
単位:hr

メーカー

田辺三菱

特記相互作用

ジゴキシンの併用
 P-糖蛋白質阻害作用のためジゴキシンのCmax及びAUCがそれぞれ36%及 び20%上昇したとの報告あり。

リファンピシン,フェニトイン, フェノバルビタール,リトナビルの併用
UGT1A9及びUGT2B4をこれらの薬剤が誘導(カナグルの Cmax 及びAUC が低下したとの報告がある)

ジャディアンス10mg・25mg特徴・Tmax・半減期

成分名

エンパグリフロジン

用法・用量

通常,成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。 なお,効果不十分な場合には,経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。

代謝

UGT2B7,UGT1A3,UGT1A8 及び UGT1A9

tmax、t1/2(半減期)

tmax   1.50
t1/2  9.88 
健康成人男性10mg空腹時単回投与時
単位:hr

メーカー

ベーリンガー

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

記事作成のサイトポリシーについてはコチラ

この投稿者の最近の記事

「伊川勇樹」のすべての投稿記事を見る>>

コメント欄ご利用についてのお願い

  • 薬剤師、薬学生、調剤事務、医師、看護師といった医療に携わる方が使用できるコメント欄となります。
  • 「薬剤師の集合知」となるサイトを目指していますので、補足・不備などございましたらお気軽に記入いただけると幸いです。
  • コメントの公開は運営者の承認制となっており「他のユーザーにとって有益な情報となる」と判断した場合にのみ行われます。
  • 記事に対する質問は内容によってお答えできないケースがございます。
  • 一般消費者からの薬学、医学に関する相談や質問は受けつけておりません。

CAPTCHA


※コメントはサイト管理者の承認後に公開されます

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」のFacebookページに「いいね!」をすると、薬剤師が現場で活躍するために役立つ情報を受け取ることができます。ぜひ「いいね!」をよろしくお願いします。

お客様により安全にご利用いただけるように、SSLでの暗号化通信で秘匿性を高めています。

ページトップに戻る