デュアック配合ゲル作用機序・服薬指導のポイント

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伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

尋常性ざ瘡(読み方:じんじょうせいざそう)に処方されるのがデュアック配合ゲルです。

デュアック配合ゲルは、抗菌薬であるクリンダマイシンCLDM(商品名:ダラシンTゲル)と過酸化ベンゾイルBPO(商品名:ベピオゲル)が配合された薬となっています。

なお、ベピオゲルは1g中に過酸化ベンゾイルが25mg(2%)入っていますが、デュアック配合ゲルは過酸化ベンゾイルが1g中30mg(3%)入っており、ベピオゲル単体より高濃度となっています。

クリンダマイシンの濃度はダラシンTゲルと同じ1%となっています。

デュアック配合ゲルの作用機序や服薬指導のポイントについてまとめました。

有効成分と作用機序

有効成分
1g中成分量
単体商品名
作用機序
クリンダマイシン(10mg)
単体:ダラシンTゲル
アクネ菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し蛋白合成阻害
アクネ菌増殖抑制

アクネ菌のリパーゼ産生を抑制
→皮脂中の遊離脂肪酸を減少→白血球遊走阻害→抗炎症作用

過酸化ベンゾイル(30mg)
単体:ベピオゲル
酸化作用
ニキビの原因菌であるP. acnes やS.epidermidisは嫌気性菌(酸素を嫌う)であり、過酸化ベンゾイルの分解によって生じるフリーラジカル(活性酸素)によって、細菌の膜構造、DNA・代謝などを直接障害する。

角層剥離作用
閉塞した毛漏斗部において、過酸化ベンゾイルの分解により生じたフリーラジカルが、角層中の構成タンパク質を変性させ、角質細胞同士の結合が弛み、角層剥離が促進される。
毛穴のつまりを改善する。

 

服薬指導のポイント

  • 目や口唇、傷口などは避ける
  • 少量を指にとり、別の指に少しとって塗る(大量に塗るのを防ぐため)
  • すりこまずに薄く広げる
  • 塗り終わったら手を洗う
  • 通常はニキビとその周辺に塗布(ニキビのみへ塗布の指示もあり)
  • 1FTU(約0.3g)顔半分に塗れる量
  • 乾燥があり保湿をする場合は、保湿剤or化粧水を塗った後にデュアック配合ゲルを塗布
  • 保湿剤や化粧水を先に塗ることで刺激感の軽減にも繋がる
  • 保湿剤や洗顔料はノンコメドジェニックテスト(毛穴の詰まりを誘発しないかどうかの試験)済みの製品を選ぶ
  • 過酸化ベンゾイル(BPO)配合のため衣類や寝具の脱色に注意
  • 枕には白色のタオルをカバーするのもよい
  • 保管は2〜8℃の冷蔵庫保存
  • 使い始めに赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状がでる可能性があるが徐々に減少することを伝える→我慢できない場合や、強い赤み、腫れがあれば要相談を

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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