ディフェリンゲル(アバタレン)作用機序・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

尋常性ざ瘡(読み方:じんじょうせいざそう)に処方される外用薬がディフェリンゲル(一般名:アダパレン)です。

ディフェリンゲル(アダパレン)の作用機序や、服薬指導でのポイントをまとめました。

作用機序

皮膚表面をつくる細胞が生まれてから角質になるまでの過程(角化)を調節して毛穴のつまりを改善。

具体的な作用機序は下記のとおり。

  1. 表皮細胞の核内レチノイン酸受容体RARγ)に結合
  2. RARの標的遺伝子の転写促進化を誘導
  3. レチノイド様作用(表皮細胞分化の抑制)

以上によって、

  • 非炎症性皮疹(開放面皰、閉鎖面皰)数
  • 炎症性皮疹(丘疹、膿疱等)数

といった総皮疹数を減少させます。

具体的な臨床効果ですが、

顔面(前額、両頬、あご)に30個以上の総皮疹がある尋常性ざ瘡患者200例(12歳以上35歳以下)に対して、
1日1回12週間の塗布を実施した臨床試験で、尋常性ざ瘡患者の総皮疹(非炎症性皮疹及び炎症性皮疹)数の減少率は63.2%1)

となっています。

塗り方・使い方

通常は1日1回洗顔後塗布します。

紫外線にあたると皮膚バリア機能が損なわれ、皮膚刺激感が増す可能性があるため、夜間の塗布が望ましいと考えられます。

ニキビ、その周辺に塗布するように指示されるケースや、顔全体に塗布するように指示されるケースもあります。
顔全体に塗る場合の目安量は大人の人差し指の第一関節まで出した量(ディフェリンゲルの場合1FTU=約0.5g)となっています。

保湿剤・化粧水と併用時の順番は?

乾燥肌の方へヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)などの保湿剤が処方されるケースもあります。

ディフェリンゲル(アダパレン)と保湿剤や化粧水を同時に使用する場合は、通常は保湿剤や化粧水を塗ったあとに、ディフェリンゲル(アダパレン)を塗布します。

保湿剤を先に塗ることで、ディフェリンゲル(アダパレン)による刺激感を軽減することにも繋がります。

抗菌薬(ダラシン・アクアチム)との併用時の順番は?

化膿を伴うざ瘡に処方されるのが抗菌薬の外用薬です。

具体的な薬剤は下記のとおり。

  • ダラシンT(一般名:グリンダマイシンリン酸エステル)
  • アクアチム(一般名:ナジフロキサシン
  • ゼビアックス(一般:オゼノキサシン

抗菌薬の外用剤とディフェリンゲル(アダパレン)を同時に使用するように指示があった場合は、
通常は、ディフェリンゲル(アダパレン)を塗布した後に抗菌薬を塗布します。

理由は、ディフェリンゲル(アダパレン)は白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビといった化膿をしていないニキビにも広範囲で使用できますが、抗菌薬は通常は化膿を伴うニキビへ塗布するため塗布範囲がディフェリンゲル(アダパレン)より狭くなる可能性があるためです。
先に抗菌薬を塗ってしまうと、ディフェリンゲル(アダパレン)によって抗菌薬が広げられてしまいますからね。

以上から、特別に医師から指示がない場合は、

  1. 保湿(化粧水)
  2. ディフェリンゲル(アダパレン)
  3. 抗菌薬の外用

の順番となります。

服薬指導のポイントまとめ

  • 人差し指の第一関節まで出した量(1FTU)が約0.5g
    →顔全体に塗る量に相当
  • 塗布後の紫外線は避けるため通常は夜の入浴後or洗顔後に使用
  • 紫外線で皮膚刺激感が増す可能性がある
  • 日焼け止め・日傘・帽子などで紫外線対策を
  • 保湿剤や化粧水を使用する場合は、保湿or化粧水を塗布後、
  • ダラシン、アクアチムなどの抗菌薬を併用する場合は、通常はディフェリンを塗布後、抗菌薬を塗布
  • 主な副作用は皮膚乾燥(17.6%)皮膚不快感(6.7%)紅斑(5.7%)そう痒症(3.8%)
    使用成績調査・安全性評価対象例2989例中
  • 使い始め2週間以内に赤み・ヒリヒリ感・皮むけ・乾燥などの刺激感を感じることがあるが通常は徐々に軽減される
  • 保存は室温保管(1〜30℃)

参考資料
1)ディフェリンゲルインタビューフォーム

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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