アトピー性皮膚炎の外用薬として2020年に製造販売承認されたのがJAK阻害薬のデルゴシチニブ(商品名:コレクチム軟膏0.05%)です。
発売日は2020年6月24日予定となっています。
従来のステロイドと異なる新しい作用機序の外用剤となります。
アトピー性皮膚炎は増悪と寛解を繰り返すそう痒のある湿疹を主病変とする病気で、日常生活に支障がでない寛解状態への導入と長期維持が治療の目標となります。
通常、アトピー性皮膚炎ではステロイドの外用薬が第一選択薬として使用されますが、
副作用でステロイドの使用が困難な部位や、ステロイドで寛解へ導入した後の移行や、プロトピック軟膏(一般名:タクロリムス)で効果不十分な場合などに、新しい作用機序であるJAK阻害薬が使用される可能性があります。
承認時は成人のみとなっていますが、2歳以上16歳未満の小児アトピー性皮膚炎患者へも臨床試験を行っていることから、
子供への適応も期待されます。
→2021年5月 小児の適応を取得しました。
デルゴシチニブ(商品名:コレクチム軟膏)の作用機序や特徴、服薬指導でのポイントをまとめました。
JAK(ヤヌスキナーゼ)はアトピー性皮膚炎に関わるIL(インターロイキン)やIFN(インターフェロン)といった炎症性サイトカインの細胞内シグナル伝達に関与する分子です。
JAKにはJAK1、JAK2、JAK3、Tyk2といったJAKファミリーがあり、下記のように炎症性サイトカインのシグナル伝達に関与しています。
炎症性サイトカイン | 関与するJAK |
IL-2 | JAK1/JAK3 |
IL-6 | JAK1/JAK2 |
IL-23 | JAK2/Tyk2 |
IFN-α | JAK1/Tyk2 |
GM-CSF | JAK2/JAK2 |
これらの炎症性サイトカインが刺激されるとT細胞、B細胞、マスト細胞、単球が活性化され、免疫細胞や炎症細胞が活性化されアトピー性皮膚炎の増悪に繋がります。
JAK阻害薬であるデルゴシチニブ(商品名:コレクチム軟膏)は、JAKの働きを阻害し、炎症生サイトカインのシグナル伝達を抑え、抗炎症作用と抗そう痒作用を示します。
またフィラグリンやロリクリンといった皮膚のバリア機能に関わる分子の発現低下も抑制します。
参考
コレクチム軟膏インタビューフォーム
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