褥瘡治療には主に外用薬が使われます。
褥瘡の創部に壊死組織が付着していた場合、そのままでは肉芽形成が進みません。
壊死組織は感染の原因にもなったりしますので、まずは壊死組織を取り除くことが大切です。
褥瘡は色による時期があり、
黒色期→黄色期→赤色期→白色期と治癒にむかっていきます。
それぞれの時期で使用される薬剤が異なってきます。
有効成分だけでなく、基剤に吸水性があるかどうかなどの「基剤の特性」も考慮して薬剤を選択しなければいけません。
この記事では黒色期・黄色期で使用される褥瘡治療薬について解説します。
褥瘡の時期についての説明はこちらに記載しています。
褥瘡と治療薬~褥瘡の基本と薬剤師の関わり方〜
赤色期・白色期の褥瘡治療薬はこちらにまとめています。
褥瘡治療薬一覧~赤色期・白色期~
黒色の硬い壊死組織が付着しています。
壊死組織を放置したままにしておくと感染のリスクが高くなるため、早めに取り除く必要があります。
医師による外科的デブリードマン(壊死組織をハサミやメスなどで取り除くこと)が主な治療となります。
壊死組織が薄く柔らかい状態であれば薬剤を使うこともあります。
壊死組織を取り除く薬剤として、ゲーベンクリームやブロメライン軟膏などがあります。
銀含有成分であり、抗菌作用が期待できます。
水分を多く含むO/W型基剤で約60%の水分を含むため、硬い壊死組織に水分を与えて柔らかくし、取り除きやすくする効果があります。
滲出液があまり多い創に使用すると、水分過多になり悪化することがあるため注意が必要です。
吸水性のマクロゴール軟膏が基剤になっているため、滲出液が少ない創では効果が期待できません。
有効成分は蛋白分解酵素のため、強い壊死組織除去効果を持っています。
酵素の作用で正常皮膚を傷つけてしまうことがあるため、周囲の皮膚にワセリンを塗るなどして保護することも大切です。
黄色の壊死組織が創面に残っている状態です。
黄色壊死組織は、硬いものと柔らかいものがあります。
壊死組織のため、黒色期と同様に創の感染に注意が必要です。
滲出液の量をコントロールして、適切な湿潤環境を保ちながら壊死組織を除去します。
壊死組織を除去しながら肉芽形成へと促していきます。
黒色期と同様に、ゲーベンクリーム、ブロメライン軟膏、ユーパスタなどが使われます。
ゲーベンクリーム、ブロメライン軟膏は黒色期を参考にしてください。
マクロゴール基剤のため吸水作用があり、肉芽が浮腫をおこしていたりする場合に適しています。
また、主剤のポビドンヨードによる抗菌作用があるため感染を制御したい場合に使われます。
ただ、滲出液の吸水力が強いため、乾燥している創には不適です。
もちろん肉芽形成促進作用があります。
ユーパスタにはイソジンシュガーパスタやネグミンシュガーなど様々な後発品がありますが、吸水力はどれも同じというわけではありません。
吸水力が一番高いのはユーパスタであるとのデータが出ています。
カデックスとは吸水性ポリマービーズであるカデキソマーにヨウ素を配合したものです。
カデックスと基剤のマクロゴールが1対1で配合されたペーストです。
殺菌消毒作用があり、カデキソマーとヨウ素で膿、細菌などを吸収します。
カデキソマーは吸水性ポリマービーズであり、基剤が吸水力のあるマクロゴール軟膏のため、ある程度は滲出液を吸収してくれますが、ビーズ内に保持された水分により湿潤保持にも働くため、滲出液が多い場合には避けた方がよいです。
また、洗浄の際には創内にビーズが残らないようにしっかりと洗浄することがとても大切です。
壊死組織は細胞の増殖を妨げ、感染の原因となります。
黒色期・黄色期はともに壊死組織除去を大きな治療目標とします。
黒色壊死組織は外科的デブリードマン(壊死組織をハサミやメスなどで取り除くこと)、黄色壊死組織は薬剤による化学的デブリードマン(壊死組織を薬剤などで取り除くこと)が主な方針となります。
壊死組織の状態や、滲出液の量に応じて薬剤を選択することが大切です。
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参考文献
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