褥瘡治療薬一覧~赤色期・白色期~

この記事を書いた人

ヒロ

薬剤師
日本薬剤師研修センター認定薬剤師
日病薬病院薬学認定薬剤師
認定褥瘡薬剤師

褥瘡は色による時期があり、
黒色期→黄色期→赤色期→白色期と治癒にむかっていきます。

それぞれの時期で使用される薬剤が異なってきます。
有効成分だけでなく、基剤に吸水性があるかどうかなどの「基剤の特性」も考慮して薬剤を選択しなければいけません。

この記事では赤色期・白色期で使用される褥瘡治療薬について解説します。

褥瘡の時期についての説明はこちらに記載しています。
褥瘡と治療薬~褥瘡の基本と薬剤師の関わり方〜

黒色期・黄色期の褥瘡治療薬はこちらにまとめています。
褥瘡治療薬一覧~黒色期・黄色期~

赤色期の状態と治療薬一覧

赤色期の状態

壊死組織が除去され、赤色の肉芽が現れた状態です。

この時期は柔らかく出血しやすいため、強くこすったりしないように注意が必要です。

肉芽の色調も様々あります。
良性の肉芽は牛肉のように鮮やかな赤色をしていますが、不良肉芽は白っぽいのが特徴です。

また、創の水分量が多すぎた場合は浮腫などを起こすことがあるため、肉芽の形状にも注意を払う必要があります。

赤色期の治療

赤色期では、良性の肉芽形成を促進させ、上皮形成へ移行させることが目標となります。
良性の肉芽を形成するために、適切な湿潤環境を保つ必要があります。
そのため、基剤の特性を考慮して創の水分に応じた薬剤を選択します。

赤色期の治療薬

ユーパスタ(白糖・ポビドンヨード配合)

ポビドンヨード抗菌作用や、精製白糖による滲出液吸収作用があります。
感染している創や、多い状態に使用されることが多い薬剤です。
創の水分量が多いときに使用すると、過剰な水分を吸収して湿潤環境が維持されやすくなります。
ただし、吸水力が強いため創面の乾燥傾向が見られる場合は他の薬剤を選択する必要があります。

オルセノン軟膏(トレチノイントコフェリル)

肉芽形成促進作用があります。
オルセノン軟膏は、水分含有率が約70%と高いため、滲出液の多い創では水分過剰となってしまい、浮腫を起こしてしまうため注意が必要です。
水分量が少ない創に適しています

フィブラストスプレー(トラフェルミン)

細胞増殖因子の一つであるb-FGF製剤です。
血管新生作用線維芽細胞増殖促進作用により、新生血管に富んだ良性肉芽を形成させます。
創面の水分量に関係なく使用します。
注意点としては、調製後は10℃以下の冷所で保管し、期限は2週間以内とすること。
蛋白成分のため、感染している創への使用は避ける必要があるということです。

白色期の状態と治療薬一覧

白色期の状態

創が収縮してくる段階で、創の周囲から上皮化が起こります。
外力が加わる“ずれ”により上皮化が進まない場合もあり、“ずれ”への対策も必要です。

白色期の治療

白色期では上皮化を促し、創を閉鎖することを目標とします。
上皮化を促し、創を閉鎖する薬剤を選択します。

白色期の治療薬

アクトシン軟膏(ブクラデシンナトリウム)

c-AMP誘導体であるブクラデシンナトリウムが主剤です。
血流改善作用血管新生促進作用表皮形成促進作用などにより、上皮化を促進します。
マクロゴール基剤のため吸水性があり、滲出液を吸収し上皮化を促進します。
赤い良性肉芽が盛り上がった状態で使用すると効果的です。
 

プロスタンディン軟膏(アルプロスタジルアルファデクス)

プロスタグランジンE1を安定化させたアルプロスタジルアルファデクスが主剤で、局所の血流を改善し、創傷治癒を促進します
基剤は保湿性のプラチナベースのため、滲出液の多すぎる創には適していません。
中等量~少量の滲出液の創に適しています。

まとめ  

肉芽形成を促進させるために大切なことは、

  1. 適切な湿潤環境を保つこと
  2. 創の表面に壊死組織がない状態を維持すること

です。

この時期は、滲出液量のコントロールが重要なので、滲出液量に応じて基剤特性を考慮して薬剤を選択する必要があります

上皮化形成を促進させるときは、 “ずれ”に注意することも大切です。

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日本薬剤師研修センター認定薬剤師
日病薬病院薬学認定薬剤師
認定褥瘡薬剤師

新潟薬科大学薬学部を卒業後、地元の病院に就職。
回復期と慢性期の薬物療法を医師とともに実践中。
中小病院ならではのオールラウンダーな業務に日々邁進中。
今は認定取得に向けて勉強中です。

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