エピデュオゲル(アダパレン・過酸化ベンゾイル)の作用機序・特徴・服薬指導のポイント

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

ディフェリンゲル(一般名:アダパレン)とベピオゲル(一般名:過酸化ベンゾイルが配合されたニキビ治療薬「エピデュオゲル」が2016年7月に製造販売承認を取得しました。

エピデュオゲルについて作用機序、用法・用量、副作用についてまとめてみました。

有効成分と作用機序

有効成分(1g中) 作用機序
アダパレン(1mg)
単体:ディフェリンゲル
レチノイド様作用
表皮角化細胞の分化が抑制され炎症性・非炎症性皮疹を減少させる。
毛穴のつまりを改善する。
過酸化ベンゾイル(25mg)
単体:ベピオゲル
酸化作用
ニキビの原因菌であるP. acnes やS.epidermidisは嫌気性菌(酸素を嫌う)であり、過酸化ベンゾイルの分解によって生じるフリーラジカル(活性酸素)によって、細菌の膜構造、DNA・代謝などを直接障害する。

角層剥離作用
閉塞した毛漏斗部において、過酸化ベンゾイルの分解により生じたフリーラジカルが、角層中の構成タンパク質を変性させ、角質細胞同士の結合が弛み、角層剥離が促進される。
毛穴のつまりを改善する。

 

効能・効果と用法・用量

効能効果は「尋常性ざ瘡」のみとなっています。

また使用部位は顔のみとなっており、背中や胸などの適応はとっていません。

用法・用量ですが、 1日1回洗顔後(夕方から就寝前)に使用することとなっています。

夕方から就寝前に塗る理由ですが、アダパレンも過酸化ベンゾイルも塗布部位の紫外線曝露を極力控えた方がいいためと考えられます。

妊婦(妊娠中)は使用禁忌

動物実験でアダパレンを内服した場合に催奇形性が報告されていることから、エピデュオゲルは妊婦へ使用禁忌となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては使用しないこと。〔妊娠中の使用に関する 安全性は確立していない。動物実験において、アダパレンの経皮投与(ラット、ウサギ)で奇形の発生は認められていないが、過剰肋骨の発生頻度増加が報告されている。アダパレンの経口投与(ラット、ウサギ)で催奇形作用が報告されている。〕

引用元 エピデュオゲルインタビューフォーム

 

ヒリヒリする刺激感の副作用が最も多くファーストチョイスには適さない

エピデュオゲルの臨床試験で報告された副作用では最も多いのはヒリヒリするといった皮膚刺激となっています。

国内第Ⅲ相臨床試験において、安全性評価対象例648例中70例(10.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、皮膚刺激(52例8.0%)皮膚疼痛(6 例0.9%)アレルギー性皮膚炎(4例0.6%)であった(承認時)

引用元 エピデュオゲルインタビューフォーム

また、

本剤はアダパレンと過酸化ベンゾイルの配合剤であり、各単剤よりも皮膚刺激が発現するおそれがあるため、本剤よりも先に各単剤による治療を考慮すること。

となっており、ファーストチョイスには適していない薬剤であるといえます。

服薬指導のポイント

  • 目や口唇、傷口などは避ける
  • 少量を指にとり、別の指に少しとって塗る(大量に塗るのを防ぐため)
  • すりこまずに薄く広げる
  • 塗り終わったら手を洗う
  • 刺激感を抑えるためにも少量からのスタート(通常は初日にニキビを中心に直径2cm程度、1日ごとに1cm広げる)
  • 顔全体に広げる場合は左額、右額、左ほほ、右ほほ、鼻(小鼻を除く)、あごの6箇所におき、薄くのばす
  • 1FTU(約0.5g)で顔全体に塗れる量
  • 乾燥があり保湿をする場合は、保湿剤or化粧水を塗った後にエピデュオゲルを塗布
  • 保湿剤や化粧水を先に塗ることで刺激感の軽減にも繋がる
  • 保湿剤や洗顔料はノンコメドジェニックテスト(毛穴の詰まりを誘発しないかどうかの試験)済みの製品を選ぶ
  • 過酸化ベンゾイル(BPO)配合のため衣類や寝具の脱色に注意
  • 枕には白色のタオルをカバーするのもよい
  • 保管は1〜30度の室温冷蔵庫でなくてよい
  • 使い始めに赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状がでる可能性があるが徐々に減少することを伝える→我慢できない場合や、強い赤み、腫れがあれば要相談を。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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