ざ瘡(ニキビ)に保険適応のあるアクアチムクリーム・ローション(成分名:ナジフロキサシン)とゼビアックスローション(成分名:オゼノキサシン)。
どちらもキノロン系の抗菌薬で、細菌のDNAジャイレースとトポイソメラーゼIVに作用してDNAの複製を阻害します。
薬局でも
「アクアチムとゼビアックスの違いは?効果に差がある?」
といった質問を受けることもあるかと思います。
アクアチムとゼビアックスのニキビ治療における違い、使い方、特徴についてまとめてみました。
アクアチムシリーズには軟膏・クリーム・ローションと3種類があるのですがアクアチム軟膏にはざ瘡(ニキビ)に効能・効果がありません。
またゼビアックスとアクアチムは化膿性炎症を伴うニキビでの効能・効果となっています。
深在性皮膚感染症に関しては2016年時点でアクアチムのみの適応となっています。
現在の適応は下記のとおりです。
表在性皮膚感染症
アクアチムクリーム・アクアチム軟膏
ゼビアックスローション
深在性皮膚感染症
アクアチムクリーム・アクアチム軟膏
ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)
アクアチムクリーム・アクアチムローション
ゼビアックスローション
用法・用量は下記のとおりです。
アクアチム
1日2回患部に塗布する。ざ瘡に対しては洗顔後、患部に塗布する。
ゼビアックス
1日1回患部に塗布する。ざ瘡に対しては洗顔後、患部に塗布する。
アクアチムは1日2回に対して、ゼビアックスは1日1回で効果があります。
「ゼビアックスローションを1日2回塗ってもいい?」
と薬局で聞かれることもありますが、2回塗っても効果に差はなくむしろ副作用の発生確率が高くなります。
マルホさんが実施した臨床試験で2週間ゼビアックスを1日1回使用した場合とアクアチムを1日2回使用した場合のアクネ菌(P.acnes)と表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)の減少率のデータがありましたので抜粋します。
薬剤名 | P.acnes減少率 | S.epidermidis減少率 |
---|---|---|
ゼビアックス | 61.5% | 74.2% |
アクアチム | 58.3% | 80% |
アクネ菌に関してはゼビアックスが、表皮ブドウ球菌に関してはアクアチムが減少率が高いデータがでています。
またMIC(最小発育阻止濃度)を見てみたいと思います。
薬剤名 | P.acnes MIC90 | S.epidermidis MIC90 |
---|---|---|
ゼビアックス | 0.06 | 0.125 |
アクアチム | 0.5 | 2 |
ダラシン | 8 | 16 |
こちらはダラシンTゲル(成分名:グリンダマイシン)との比較もありました。
数値が低いほどより低い濃度で菌を抑えることができるという指標なので、このデータを見る限り抗菌力についてはゼビアックスが強いといえそうですね。
ディフェリンゲルやベピオゲルなどと抗菌薬を併用する場合
「塗る順番はどっちが先?」
と質問を受けるかと思います。
主治医からの指示がない場合は、ディフェリンゲルやベピオゲルを塗った後に抗菌薬を塗ることが推奨されています。
抗菌薬を後に塗る理由は、ディフェリンゲルやベピオゲルはニキビ全体に使用できるのに対して、抗菌薬は化膿した部分にスポットで塗ります。
先に抗菌薬を塗ると、後から広範囲に塗る外用剤によって抗菌薬が広げられてしまうため、抗菌薬は最後に塗ることが推奨されています。
アクアチムの場合は1日2回朝洗顔後と夜の入浴後に使用するのがスタンダードですので、就寝前に使用するディフェリンゲルと同時に使うことになります。
しかしゼビアックスローションは1日1回でOKですので、ディフェリンゲルやベピオゲルとずらして使用が可能です
またキノロン系抗菌薬は光線過敏症が報告されているので、長時間外出する場合は夜に塗るのをオススメしています。
アクアチムクリームについては1%未満で
そう痒感、刺激感、発赤、潮紅、丘疹、顔面の熱感、接触皮膚炎、皮膚乾燥、ほてり感
が報告されており、ローションについては承認時に刺激感(18/170例)が報告されています。
ゼビアックスローションの主な副作用については
承認時までの臨床試験において適用部位そう痒感(1.1%)適用部位乾燥(1.1%)適用部位刺激感7(0.9%)
となっており副作用に大きな差はありません。
アクアチムとゼビアックスの比較をまとめると
・作用機序は同じ(DNAジャイレースとトポイソメラーゼIVに作用・DNAの複製阻害)
・用法が異なる(アクアチムは1日2回・ゼビアックスは1日1回でOK)
・抗菌力はゼビアックスが強い
・最終的な効果に大差はない
またどちらも耐性菌の観点からも長期間の使用は避けるようになっています。
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