爪白癬に効能・効果のある外用剤はクレナフィン爪外用液10%(成分名:エフィナコナゾール)とルコナック爪外用液5%(成分名:ルリコナゾール)があります。
従来の爪白癬の治療はイトラコナゾールやテルビナフィンといった内服薬でしたが、肝臓への負担がかかることや、特にイトラコナゾールは薬物相互作用があることから、これから高齢者を中心に外用剤の処方が増えてくることが予想されます。
クレナフィン爪外用液とルコナック爪外用液について違いや特徴についてまとめてみました。
クレナフィン爪外用液
1g中にエフィナコナゾールを100mg(10%)含有します。
ルコナック爪外用液
1g中にルリコナゾールを50㎎(5%)含有します。
クレナフィン(エフィナコナゾール)、ルコナック(ルリコナゾール)はどちらも同じ作用機序で真菌細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害します。
エルゴステロールはアセチルCoAからメバロン酸、ラノステロールを経由して生成されるのですが、クレナフィンやルコナックはラノステロールを変換するラノステロール-14-α-デメチラーゼを阻害することでエルゴステロールの生合成を抑えます。
適応菌種・適応症については、クレナフィン、ルコナックともに全く同じとなっています。
適応菌種
皮膚糸状菌(トリコフィトン属)
適応症
爪白癬
用法・用量についても、クレナフィン、ルコナックともに全く同じです。
用法・用量
1日1回罹患爪全体に塗布する。
本剤を長期間使用しても改善が認められない場合は使用中止を考慮するなど、漫然と長期にわたって使用しないこと(48週を超えて使用した場合の有効性・安全性は確立していない)
どちらにも48週間を超えての安全性は確立していないとの記載があります。
クレナフィン爪外用液10%は容器の先にハケが付いていますので、ハケで爪全体を塗ります。
一方でルコナック爪外用液5%はそのまま押し当てて塗ります。
ワンプッシュで爪全体に塗ることができます。
MIC90=「90%の菌株の発育を阻止する最小薬物濃度」をみてみましょう。
数値が低い方が高力価となりますので、下記のようにルコナックの方が力価が高いことが分かります。
Trichophyton rubrum (紅色白癬菌)
クレナフィン爪外用液0.008 μg/mL
ルコナック爪外用液0.001μg/mL
T. mentagrophytes(毛瘡白癬菌)
クレナフィン爪外用液0.015μg/mL
ルコナック爪外用液0.001μg/mL
それぞれのインタビューフォームから完全治癒率を抜粋しました。
クレナフィン爪外用液
17.8%(117/656 例) 52週後
うち日本人28.8%(53/184例)
ルコナック爪外用液
14.9%(29/194例) 48週後
どちらも完全治癒率は決して高くはないことが分かるかと思います。
クレナフィンとルコナックの副作用を抜粋しました。
クレナフィン爪外用液
1%以上
皮膚炎、水疱
0.1~1%未満
紅斑、腫脹、疼痛、そう痒、皮膚剥脱、異常感覚、爪甲脱落、 変色、湿疹、鼻咽頭炎、頭痛
ルコナック爪外用液
1%以上
皮膚乾燥、接触皮膚炎、湿疹、皮膚炎、皮膚刺激、爪囲炎、乾燥症
0.1~1%未満
皮膚剥脱、紅斑、過角化、爪裂離
クレナフィン、ルコナック共に妊娠中、授乳中の方への投与については下記のような記載となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 (妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。)
授乳中の婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること
力価はルコナックの方が高いですが、治癒率についてはクレナフィン爪外用液とルコナック爪外用液には大きな違いはありません。
現場ではクレナフィンの方が先に発売されたこともあり、先行優位が働いているように感じています。ルコナック爪外用液はすでにルリコンクリームや液として同成分の薬剤が発売されていることからも、ルリコンを好むドクターにとってはルコナックで処方される可能性がありそうです。
僕が新人薬剤師のころは「爪水虫は塗り薬では治らない」と教えられた世代なので、爪白癬治療薬の外用剤の誕生は画期的に思います。
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