2か月ほど前に頬に突如現われた「ニキビ」
自宅にあったアクアチムクリーム(一般名:ナジフロキサシン)で対処していました。
2カ月経っても一向に良くなる様子もなく、流石に我慢できず近所の皮膚科を受診しました。
主治医:アクアチムもいいけど、最近新しい薬が出たので試してみますか?
伊川:もしかしてBPOですか??
主治医:おっ。よく知ってますね!ディフェリンゲル(一般名:アダパレン)よりも刺激も少ないみたいですが、一度出してみましょうか?
伊川:はい!お願します!!!
というわけでベピオゲル2.5%(一般名:過酸化ベンゾイル)を使ってみました。
過酸化ベンゾイルの表記はbenzoyl peroxideということで通称「BPO」と呼ばれています。
日本では2015年に保険が適応されましたが海外ではスタンダードなニキビ治療薬なんですね~。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)には、
①酸化による抗菌作用
②角層剥離作用
の大きく2つの作用があります。
まず①の「酸化による抗菌作用」についてですが、
ニキビの原因となる菌は主にP. acnes(アクネ菌) や Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)なのですが、これらの菌って嫌気性なんですよね。
微生物の試験で出てきたと思います。
つまりアクネ菌や表皮ブドウ球菌は酸素がある状態では生きていけないのです。
過酸化ベンゾイルは分解過程でフリーラジカルとなり、アクネ菌などから電子を奪い、酸素を与えます。
この強力な酸化作用によって、細菌の膜構造、DNA・代謝などを直接障害して、抗菌作用を示すとされています。
そして②の「角層剥離作用」についてですが、
過酸化ベンゾイルの分解により生じたフリーラジカルが、角層細胞同士を繋げる「コルネオデスモソーム」といわれるタンパク質を変性させることにより、角質細胞同士の結合が弛み、角層剥離が促進される(ピーリング作用)とされています。
そのため毛穴のつまりを改善します。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を使用する上での注意点は下記の通りとなります。
・漂白作用あり
服や枕などに付かないよう注意しましょう。
枕には白いタオルでカバーするのがオススメです。
・長時間の日光は避ける
塗布時間は決まっていませんが夜入浴後がベターでしょう。
・涼しいところに保管(25℃以下)
夏場は冷蔵庫での保管がオススメです。
臨床試験で報告されている副作用は、
5%以上
皮膚剥脱(鱗屑・落屑)、刺激感、紅斑、乾燥
5%未満
そう痒、接触性皮膚炎、皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、間擦疹、乾皮症、脂腺機能亢進、腫脹、ピリピリ感、灼熱感
となっています。
乾燥肌の方へヒルドイド(一般名:ヘパリン類似物質)などの保湿剤が処方されるケースもあります。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)と保湿剤や化粧水を同時に使用する場合は、通常は保湿剤や化粧水を塗ったあとに、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を塗布します。
保湿剤を先に塗ることで、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)による刺激感を軽減することにも繋がります。
化膿を伴うざ瘡に処方されるのが抗菌薬の外用薬です。
具体的な薬剤は下記のとおり。
抗菌薬の外用剤とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を同時に使用するように指示があった場合は、
通常は、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)を塗布した後に抗菌薬を塗布します。
理由は、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)は白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビといった化膿をしていないニキビにも広範囲で使用できますが、抗菌薬は化膿を伴うニキビへ塗布するため塗布範囲がベピオゲル(過酸化ベンゾイル)より狭くなる可能性があるためです。
先に抗菌薬を塗ってしまうと、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)によって抗菌薬が広げられてしまいますからね。
以上から、特別に医師から指示がない場合は、
となります。
服薬指導では
といった可能性があることは説明しておいたほうがよいでしょう。
これらの刺激症状は1ヶ月を経過すると頻度は減ってくるとされています。
これらの刺激症状を軽減するためにも、少ない量、狭い範囲から塗ることを指導されるケースもあります。
1FTUで(約0.5g)で顔全体に塗布できますが、スタートは1/8→1/4→1/2というように徐々に量と範囲を広げていくといった方法です。
また少量からのスタートの例としては初日にニキビを中心に直径2cm程度塗り、1日ごとに1cm広げるといった塗り方を指導されるケースもあります。
顔全体に広げる場合は左額、右額、左ほほ、右ほほ、鼻(小鼻を除く)、あごの6箇所におき、薄くのばします。
塗り場所が、赤いニキビだけなのか、ニキビとその周辺なのか、顔全体なのか、塗り方は皮膚科で指導されているかを確認して塗り方の説明を行う必要があります。
また漂白作用もありますので、枕や布団や服に付着しないように注意しなければいけません。
念のため枕には白色のタオルでカバーすることもオススメです。
乾燥をし、保湿が必要な場合は、通常は保湿剤(または化粧水)を塗布した後に、ベピオゲルを塗布します。
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