アドエアディスカス吸入回数の注意点

この記事を書いた人

J

薬剤師
日本大学 薬学部卒

こんにちは、薬剤師ライターのJです。

アドエアはステロイドとLABA(長時間作用型β2刺激)が配合された吸入薬です。

気管支喘息の患者さんで、下記のようなアドエアの処方をうけつけた時、
薬剤師の皆さんはどのような対応をしますでしょうか。

Rp) アドエア250ディスカス60ブリスター 1キット    
1日2回1回2吸入

しっかり勉強していないと見落としてしまうアドエアの吸入回数に関する注意点をご紹介します。

アドエアの規格(ディスカス・エアゾール)

まずアドエアの規格ですが、たくさんあります。

ディスカスは100、250、500、
それぞれの規格に28吸入用と60吸入用があります。

エアゾールは50、125、250、すべて120吸入用です。

それぞれ1吸入あたりのフルチカゾンステロイド)とサルメテロール長時間β2刺激)の量は下記のとおりです。

規格 フルチカゾンの量/1吸入 サルメテロールの量/1吸入
ディスカス100μg 100μg 50μg
ディスカス250μg 250μg 50μg
ディスカス500μg 500μg 50μg
エアゾール50μg 50μg 25μg
エアゾール125μg 125μg 25μg
エアゾール250μg 250μg 25μg

 

アドエアディスカス・エアゾールは吸入回数が異なる

アドエアにはディスカスとエアゾールという2種類のデバイスがありますが、処方量が同じ場合でも1回あたりの吸入回数が違います。

例えば1回あたりサルメテロール50㎍及びフルチカゾンプロピオン酸エステル250μgを1日2回吸入させたい場合

ディスカス250μg
1回1吸入1日2回吸入

エアゾール125μg 
1回2吸入1日2回吸入

といった具合に通常、成人に処方される場合は、エアゾールは1回2吸入、ディスカスは1回1吸入になります。

1日吸入量の上限に注意する

ではここからが本題です。

最初に質問した気管支喘息患者さんへの下記の処方が正しいかどうか考えてみてください。

Rp)アドエア250ディスカス60ブリスター 1キット    
1日2回1回2吸入

いかがでしょうか。

正解は×です。
アドエアディスカスは通常1回1吸入なので、1回2吸入は間違いですね。

では疑義照会をしたとします。

ドクターの返事は下記の通りでした。


処方元 医師

この患者さん、1回1吸入じゃコントロールできてないからステロイドの量増やしたいんだよね、だから1回2吸入で出したいんだけど・・。

さて、ここでなんと返事をするのが正解でしょうか?

「そういう理由だったんですね、でしたらこのままお出しします」

といった感じに返事をしたくなりますがこれはいけません。

アドエアの用法・用量に関連する使用上の注意をご覧になってください。 

本剤の過度の使用により不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があることを理解させ、1日2回を超えて投与しないよう注意を与えること(サルメテロールキシナホ酸塩の気管支拡張作用は通常12時間持続するので、その間は次の投与を行わないこと)

引用元 アドエア添付文書

1日2回を超えないようにと書いてありますね。
これはなぜかというとサルメテロールの用量がどの規格も一定の量が入っているからです。

アドエアディスカスを1日2回、1回2吸入の場合、どの規格でもサルメテロールの量が200㎍となってしまい、1日最大量の倍量になってしまいます。

そのため、今回のドクターの返答に対する回答は、


薬剤師

1回2吸入だとサルメテロールの投与量が最大量の2倍になってしまい不整脈や心停止等のリスクが上がってしまうので、ステロイドの量だけ倍になったアドエア500ディスカスを1回1吸入に変更していただきたいのですが、いかがでしょうか。

といった感じに答えられると良いかと思います。

これはバイト先で実際にあった話ですが、今回と似たような処方で同僚の薬剤師が疑義照会をしたところ、ドクターからの返答は

「わざと多く処方しているのでこのまま出してください」

と言われ、さらに追加でメプチン錠とアスベリン錠とムコダイン錠が処方されました。

これ大丈夫なのかなと疑義照会した薬剤師も私も思ったのですが、時間をおいてその場で不在だった薬局長に相談したところ、

「ドクターがアドエアをフルタイドと勘違いしているんじゃないかな」

薬局長が改めて疑義照会をし、アドエアは中止となってフルタイドに変更、β2刺激薬はメプチン錠だけになりました。

このようにドクターが勘違いしている可能性があるので疑義照会の仕方も注意が必要ですね。

アドエアディスカス/エアゾールは規格が変わるとステロイドの量だけが変わって、LABA(長時間作用型β2刺激薬)の量は変わらないということをぜひ覚えておいてください。

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