ワルファリン(ワーファリン)と併用禁忌の薬一覧【相互作用】

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

心筋梗塞や脳血栓などの血栓症に処方される経口抗凝固薬がワルファリンカリウム(商品名:ワーファリン)です。

ワルファリンが処方される患者さんに特に注意すべきなのは「薬物相互作用」です。

ワルファリンと併用禁忌の薬剤とその理由についてまとめてみました。

メナテトレノン(商品名:グラケー)と禁忌の理由

骨粗鬆症治療薬のビタミンK2製剤メナテトレノンとワルファリンの併用はワルファリンの効果を減弱させるため併用禁忌となっています。

メナテトレノンがのビタミンK依存性凝固因子の生合成阻害作用と拮抗することが理由とされています。

薬剤師の対応

併用があった場合は、基本的にワルファリンの治療を優先し、ビタミンK2製剤の投与を中止します。

イグラチモド(商品名:ケアラム、コルベット)と禁忌の理由

関節リウマチ治療薬のイグラチモド(商品名ケアラム、コルベット)とワルファリンとの併用はワルファリンの効果を増強するため併用禁忌となっています。

なお、機序は不明となっています。

薬剤師の対応

併用があった場合は、ワルファリンの治療を必要とする場合はワルファリンを優先し、イグラチモドの投与を中止します。

ミコナゾール(商品名:フロリードゲル、フロリードF注)と禁忌の理由

抗真菌薬のミコナゾール(商品名:フロリードゲル、フロリードF注)とワルファリンの併用はワルファリンの効果を増強するため併用禁忌となっています。

ミコナゾールはCYP2c9とCYP3A4を強力に阻害します。ワルファリンの代謝酵素は主にCYP3A4CYP2c9が関与します。

もともとは慎重投与でしたが、出血時間の延長やINR上昇が報告されたことから2016年に併用禁忌と改訂されました。

ミコナゾール入りのクリーム(フロリードDクリーム)や膣錠(フロリード膣坐剤)は併用注意とされています。

薬剤師の対応

併用があった場合は、ワルファリンの治療が必要な場合、ワルファリンを優先し、ミコナゾールの投与を中止しなければいけません。

ワルファリンと抗真菌剤の相互作用

多くの抗真菌剤がワルファリンの作用を増強させるため「併用注意」となっています。

添付文書で併用注意となっている抗真菌薬の一覧です。

  • イトラコナゾール(商品名:イトリゾールカプセル・内用液・注)
  • フルコナゾール (商品名:ジフルカンカプセル・ドライシロップ・静注)
  • ホスフルコナゾール (商品名:プロジフ静注)
  • ボリコナゾール (商品名:ブイフェンド錠・ドライシロップ・静注)
  • ミコナゾール(クリーム、膣錠)(商品名:フロリードクリーム、フロリード膣坐剤)

SU剤(グリベンクラミド・グリメピリド)と併用注意の理由

併用禁忌ではありませんが、SU剤とワルファリンを併用する場合、ワルファリンとSU剤の作用を増強する可能性があるため併用注意となっています。

SU剤がワルファリンの肝代謝酵素を阻害、ワルファリンがSU剤の肝代謝を阻害するためです。

この記事を書いた人

伊川勇樹(いかわゆうき)

株式会社ティーダ薬局 代表取締役・管理薬剤師
薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」管理者

2006年 京都薬科大学 薬学部卒。

調剤併設ドラッグストアのスギ薬局に新卒で入社。
調剤部門エリアマネージャーを経験後、名古屋商科大学院経営管理学修士課程にて2年間経営学を学び、経営管理学修士号(MBA)を取得。
2013年4月、シナジーファルマ株式会社を設立。
2013年8月、薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」をリリース。

薬剤師専門サイト「ファーマシスタ」は臨床で役立つ学術情報や求人広告を発信し月間24万PV(2023年6月時点)のアクセスが集まるメディアとして運営中。

2021年より福岡県北九州市にてティーダ薬局を運営(管理薬剤師)。

1983年11月 岡山県倉敷市で生まれ、水の都である愛媛県西条市で育つ。
大学より京都・大阪で14年間、沖縄Iターン特集立ち上げのため沖縄県で4年間暮らし、現在は福岡県民。
二児の父親。

当面の目標は、
「息子達の成長スピードに負けないこと」

座右の銘は、
「まくとぅそうけい なんくるないさ」
=「誠実に心をこめて精進していれば、なんとかなる!!」

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