抗てんかん薬はカルバマゼピン(略号:CBZ 商品名:テグレトール)や、バルプロ酸ナトリウム(略号:VPA 商品名:デパケン)といった従来薬と、新世代薬に分類されます。
新世代の抗てんかん薬が続々と上市されたこともあり、頭の整理をするためにも新世代の抗てんかん薬の作用機序、効能・効果の違いについてまとめました。
てんかんは脳神経細胞の過剰な興奮が引き金となることから、抗てんかん薬は脳神経細胞に対して大きく下記の2つのアプローチで作用します。
新世代の抗てんかん薬の作用機序も同様に、
「興奮系を抑える」
「抑制系を増強する」
「興奮系を抑え、抑制系を増強する」
のいずれかとなります。
こう考えるととてもシンプルですね。
脳神経細胞の興奮系に関与しているのがNa+やCa2+、抑制系に関与しているのがCl−です。
神経細胞内にNa+やCa2+が流入すると神経細胞が興奮し、興奮系物質であるグルタミン酸が放出されます。
抑制系の神経伝達物質であるGABAがGABAA受容体に結合すると神経細胞内にCl−が流入し興奮を抑制します。
つまり脳神経細胞の過剰な興奮を抑えるためには下記のように働けばいいわけです。
興奮系を抑制
抑制系を増強
この仕組みを理解しておけば、複雑に感じる抗てんかん薬の作用機序がすんなりと頭に入ってきます。
新世代抗てんかん薬の作用機序を下記にまとめました。
一般名 略号 商品名 |
作用機序 |
---|---|
ガバペンチン GBP ガバペン |
興奮抑制 電位依存性Caチャネル抑制(α2δサブユニット) 抑制増強 |
トピラマート TPM トピナ |
興奮抑制 抑制増強 |
ラモトリギン LTG ラミクタール |
興奮抑制 |
レベチラセタム LEV イーケプラ |
興奮抑制 シナプス小胞たん白質2A(SV2A)結合 →グルタミン酸の放出調節 電位依存性Caチャネル抑制(N型) 細胞内Ca2+遊離抑制 |
ペランパネル水和物 PER フィコンパ |
興奮抑制 グルタミン酸受容体(AMPA 受容体)拮抗 →グルタミン酸による神経興奮抑制 |
ラコサミド LCM ビムパット |
興奮抑制 Naチャネル不活性化の促進(緩徐) |
2017年時点での新世代抗てんかん薬の効能・効果の違いです。
一般名 略号 商品名 |
部分発作 | 全般発作 |
---|---|---|
ガバペンチン GBP ガバペン |
◯ 併用のみ |
× |
トピラマート TPM トピナ |
◯ 併用のみ |
× |
ラモトリギン LTG ラミクタール |
◯ | 強直間代発作 単剤OK Lennox-Gastaut症候群 併用のみ |
レベチラセタム LEV イーケプラ |
◯ | 強直間代発作 併用のみ |
ペランパネル水和物 PER フィコンパ |
◯ 併用のみ |
強直間代発作 併用のみ |
ラコサミド LCM ビムパット |
◯ | × |
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